alchemist_380 のひとりごと

元・水の分析屋さんがブツブツ言います

2023-01-01から1年間の記事一覧

トマス・ミジリーの創造物 (2)

「マーフィーの法則」より: 始まりがよいと終わりは悪い 始まりが悪いと終わりはもっと悪い 「始めよければ終わりよし」とか「始めよければすべてよし」とか言われますが、そうはいきません。敵陣深くまで蹴り込んだキックオフがリターンからまさかのタッチ…

トマス・ミジリーの創造物 (1)

日本国憲法 より: 第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。4 すべて選挙における投票…

年賀状すませたので「燃焼」について

9/27 の「水はどこにどのくらいあるのか」の中で、地球上には容易に利用できる形で存在する淡水はごくわずかしかないこと、陸上のあらゆる生物は地球全体にある水の 0.01%にもみたない量で養われていることを紹介しました。そのときは柱になったグラフをお見…

3桁区切りの世界

元・水の分析屋さんの公務員生活が始まったころ、担当する仕事の予算は「千円」単位で処理していました(83,000 円 → 83 千円)。たくさん積み重ねると痛い目に遭うこともありますが、とりあえず450円とかには目をつぶる仕組みです。もう少し広範囲の業務を…

「大体の数」を使って理解しましょう

前回の塩素の原子量の計算ですが、望む結果が 35.xx と分かっているのですから「b) 36.97×0.2423 = 8.95783 → 08.95783」 と、整数部分を2桁に合わせるくらいの工夫はしてほしいですね。足し算するときに小数点以下の桁数が変わってしまうのはどう考えてもま…

数値の表現・・・塩素の原子量で困ってみました

函館市の津軽海峡側と日本海側の江差町でイワシなどが大量に漂着しました。三重県志摩市でもママカリやイワシが漂着して大量死しています。地元自治体は処分に追われているところですが、そんな中で、大量死の原因を「Fukushima」(処理水の放出)に結びつけ…

化学の試験は単純な四則演算 (3)

前回まで、元・水の分析屋さんとしては、 (1) 貴ガス元素の電子配置は、最外殻が「閉殻」か「オクテット」になっている ことを紹介してから (2) 「共有結合」は、複数の原子が電子を融通し合って「閉殻」や「オクテット」を作る原子の結合様式である ・・・ と…

化学の試験は単純な四則演算 (2)

前回、SI 基本単位のうち物質量を表す モル mol の定義について書きましたので、そのほかの単位についても紹介しておきます(モルの定義も含めて、改訂文書からの拙訳です)。 ○ 秒(記号 s)は時間の単位である。それは、単位 Hz (s-1 に等しい)による表現…

化学の試験は単純な四則演算 (1)

10/16 の記事で、二酸化炭素が水に溶けたときの化学平衡のことを書きました。確認のため、もう一度まとめておきます: 4つの物質の濃度が2つの平衡定数により束縛されている 海洋気象観測船によって実際に測定されるパラメータは以下の4つです: pH の測定は…

希ガス・貴ガス・キサス

トリオ・ロス・パンチョスのヒット曲に「キサス・キサス・キサス」っていうのがありました。英語だと "Perhaps, Perhaps, Perhaps" です。女性にいろいろ話しかけても「たぶんね」としか応えてくれない。あはは・・・ キサスキサスキサスという競走馬は、24連勝…

空気の発見 (5)

健康増進のためにオゾンを胸いっぱい吸い込む、なんていうフレーズをウェブ上で見かけました。いやぁ、困ったものです。まずは下表をご覧あれ: 酸化還元電位・・・高い値を示すものほど強い酸化剤です 酸化力の強い過酸化水素(オキシフルとか)や次亜塩素酸(…

空気の発見 (4)

前回、ラヴォアジェがギロチンにかけられたことを小さく書きました。私たちはギロチンによる処刑をとても残酷だと感じますが・・・いろいろな書物やサイトを参照して簡単にまとめると次のようなことになるかと:フランス革命勃発直後の1789年8月、フランス国民…

空気の発見 (3)

光合成は、植物が光エネルギーを化学エネルギーに変換して、生体に必要な有機物質を作り出す反応過程です。大雑把な表現ですが、大気中の二酸化炭素と水から炭水化物を合成する反応で、炭素固定とも言います。 二酸化炭素と水でブドウ糖を作る反応式 水 H2O …

「空気」の発見 (2)

前回紹介したアリストテレスの物質観は、私たちが⽇常的に目にする物質の変化や運動を巧みに説明してくれるものでしたが、熱・冷・乾・湿などは、⼈間の感覚知覚に基づいた相対的であやふやなものだとして納得しない人もいました。たとえば、デモクリトス(B…

「空気」の発見 (1)

ウェブで出合った物理と化学の違い: ○ 物理学は、自然の究極的解明を目指し、すべての階層において、できる限り普遍的な法則を探求する学問。○ 化学は、さまざまな物質の構造・性質および反応を対象とし、物質世界の多様性を明らかにしようとする学問。 理…

海洋の表層循環-海流 (4)

元・水の分析屋さんの愛読書「老子」から引用です。 上善若水 水善利萬物而不爭 處衆人之所惡 故幾於道上善は水の若し 水は善く万物を利して而(しか)も争わず 衆人の悪(にく)む所に処る 故に道に幾(ちか)し 「道に幾い」水は、万物に恵みを与えながら…

海洋の表層循環-海流 (3)

日本語を母語としない人たちが日本語を学ぼうとするとき、ものの数え方がわかりにくくて困るという話をよく耳にします。たとえば、鉛筆などを数えてみましょうか。 一本、二本、三本、四本、五本、六本、七本、八本、九本、十本。 私の読み方は「いっぽん、…

海洋の表層循環-海流 (2)

世間でいう「深層水」は、太陽光が届かない、生物活動が活発ではないと思われる深さ(200m くらい)よりも下から汲み上げた海水だと思います。しかし、海洋観測の業界では1000m深くらいまでは「表層」です。まあ、全海洋の平均深度が約3700mでしたから、「深…

海洋の表層循環-海流 (1)

「マーフィーの法則」 Bureaucratics (官僚主義)の章より -------------------------------------------------------------------------------組織の異常行動についてのオーエンの理論すべての組織には、不適任者のための部署が用意されている。 推論前任…

北太平洋でできる一番重い水

おおごとじゃ、おおごとじゃ。リマン海流がホントに明瞭な流れなのか、とかでブツブツ言っていたところ、もっとずっと大胆な奴を発見しました。以下、引用です: ------------------------------------------------------------------------------- 五島列島…

親潮と黒潮の間で (3)

10/30 に掲載した図の中に「親潮(千島海流)」「黒潮(日本海流)」と書かれておりました。図をもう一度載っけておきます。 (再掲図:海流の名称にご注目) 親潮を千島海流ともよぶ、黒潮を日本海流ともよぶ。これは社会科(地理)の業界だけのことみたい…

親潮と黒潮の間で (2)

今年の立冬は今日、11月8日。暦の上では冬です。ネット上のあちらこちらに「立冬は秋分と冬至のちょうど中間」と書かれているのをみかけたもので、ブツブツ言いたくなりました。 二十四節気は太陽黄経(春分点基準の黄道上の太陽の位置)で決まっています。…

親潮と黒潮の間で (1)

「水塊 water mass」とは、水温、塩分、溶存酸素量、栄養塩濃度などがほぼ一様な水の塊(かたまり)のこと。海の物理屋さんたちのいう水塊は、たいてい水温と塩分で定義されますが、元・水の分析屋さんは化学屋なので、溶存酸素量や栄養塩濃度も気にします。…

親潮と黒潮、何が違う?

蛍光灯の電球(蛍光管)に水銀が使われていることをご存じでしょうか。蛍光管の電極から電子が飛び出し、それが封入されている水銀原子に衝突して紫外線が生じて内壁の塗料に吸収され、そのエネルギーが可視光線として放射されるという仕組みです(水銀原子…

海の恵みがもたらされる仕組み (5)

昨夕(11/1)は稲光と雷鳴に驚かされましたが、幸いにも植木鉢がいくつか倒れる程度のことですみました。「気象庁|アメダス」のページから函館の観測データを拝借です。 11月1日 函館の毎時データ 昼まで庭で木材加工の作業をしていたのですが、風が強くな…

海の恵みがもたらされる仕組み (4)

私は高校卒業までの18年ほどを広島県で暮らしました。故郷にそれほど強い愛着を抱いている訳ではないですが、北海道弁と怪しい関西弁と広島弁のトリリンガルです。それはさておき、気象庁の提供する情報を見ると、大雨以外の特別警報が紫、警報が赤で表示さ…

海の恵みがもたらされる仕組み (3)

世間では、関西の球団同士の対決ということで盛り上がっているようですが、私は北海道民だし、出身地は広島県だし。まあ、いつか見返してやりたいと思いつつ(笑)。 「レッドフィールド比」を考えよう 地球上に現存する生物体の有機物の元素組成は、海洋の…

海の恵みがもたらされる仕組み (2)

北海道新聞、10月26日の第3社会面に「処理水の放出2回目を完了」という小さな2段の記事をみつけました。処理水1回目の放出時の大騒ぎが嘘のような扱いですが、その最後に「処理水を移送するポンプのフィルターにさびが付着して目詰まりし、ポンプの圧力が一…

海の恵みがもたらされる仕組み (1)

熱の伝わり方、三とおり。元・水の分析屋さんの世代だと、小学校4年生くらいで学習したはずですが、覚えていますか? 伝導、放射(輻射)と対流ですね。 熱が何かの物体を媒体として運ばれるのが「伝導」。物体と書いたのは、それが固体でなくてもよいからで…

二酸化炭素の増加と海洋の変化 ― 貧酸素化

今日の北海道新聞、ことわざアナグラムの第一問:「ゆめはふじとゆうなかふじ」 これは 「とうじふゆなかふゆはじめ」→「冬至 冬中 冬初め」 じゃないかと思いますが、私たちの世代でも使わない言葉かもしれない・・・と思いました。思いついたとっつぁんは何者…