ニュースサイトで見かけた話:
料理研究家でユーチューバーとしても活躍するリュウジ氏(38)が13日にXを更新。
米国でフェイクのカウントが「1月20日から米国でグルタミン酸ナトリウム(うまみ調味料)の使用が禁止される」と発信していることに触れ、「この『米国で味の素が1月20日に禁止』というポストに『米国が禁止するほど毒』『リュウジ終わった』『やっぱり体に悪い』って書いてる方、名前の Health Secretary Parody(保険長官のパロディ)って文字読めないのかな」と真に受ける人に対して苦言を呈し、「デマはこうして拡散されます」とつづった。【サンケイスポーツ】

料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか、で有名な料理研究家のリュウジさん。本の表紙に「塩味に塩、甘味に砂糖、うま味に「味の素」。家庭料理の味方です。」と書かれていますから、まあ、使う理由はそれで言い尽くしているのでしょう。
うま味調味料の正体は「グルタミン酸ナトリウム」(L- は光学異性体を示す記号で、上図のアミノ基 -NH2 が図の奥向きに生えていたら D- となります)。右側も -COOH のままでは難溶性なので、溶けやすくするためにナトリウム塩にしてあります。この物質は、昆布のうま味成分となっているアミノ酸(-COOH と -NH2 をもっています)の一種です。天然起源の物質と同じなのに、健康被害や味覚障害を引き起こす、という風評被害(i) に長年晒されてきたそうです。化学合成で作られているものは危険、という誤解が広まったままなのでしょう。安心してください。穿いてますよ・・・じゃなかった、さとうきびからとれる糖蜜やでんぷんを原料として、グルタミン酸生産菌を利用した発酵法で作られています。バイオなのです。
(i) 元・水の分析屋さん愛用の新明解国語辞典(新解さん)、1972年の第四版では単に「ふうひょう【風評】(よくない)うわさ。」が見出し語になっていましたが、2020年の第八版では複合語として「―ひがい【―被害】客観的な根拠もないのに・・・」が加わっていました。SNSの炎上も多発する時代だからでしょうかね。
そういえば、放射能に関しても笑うしかない風評・デマがあります。天然の放射能は健康に害を及ぼさないが、人工放射能は危険だというものです。何から出ても α線は α線(He-4 の原子核)だし、何から出たって β線は β線(電子)。天然か人工かが分かるような名札は付いておりません。どうしても放射能が気になる人は、わざわざラジウム温泉にでかけることはしないでしょうし、β線を出すカリウム40 を豊富に含む野菜・果物の摂取は避けておられるのでしょう。まあ、いつぞや書いたとおり、あなたの体内に数千ベクレル分が存在していますけど。
味の素をかけたものを食べたら頭がよくなるって言われた覚えがある昭和生まれの方、多いのではないかと思います。Health Secretary Parody に気づけなかった皆さん、もっと味の素かけときゃよかったかも知れませんね(笑)。
世間に出回っている紙のサイズ
皆さんよくご存知の紙のサイズ、A4 なんかが代表格かと思います。一方、昭和生まれの私たちに馴染み深いのは、B4, B5 じゃないでしょうか。こうした用紙のサイズはどのように決められたのでしょうか。
○ A列判
これは ISO に定められている国際基準の規格です。19世紀末のドイツの物理学者、オズワルドによって提案された規格だそうで、A0 の面積が 1m2 になっています。
○ B列判
こちらはなんと、日本独自の規格なんだそうです! B0 の面積は 1.5m2、A0 の1.5倍の大きさになっています。
で、A列 と B列の 用紙サイズを mm 単位で書いてみると、

B列は、諸外国にはないサイズなので、世界共通のデータを交換するような仕事をしていると、それなりに困る場面が当然出てきます。元・水の分析屋さんも、まだ若かった頃に役所の文書が B列から A列に移行して、文書をどうやってファイルに綴じたものか、苦労した覚えがあります。
「ルート長方形」の縦横が「白銀比」
上の表を見れば、A列も B列も縦横半分にし続けている(半分に折り続けている)ことが分かるでしょう。言い換えると、どちらの列でも縦横比は一定だと言うことです。その比は、正方形の一辺と対角線の長さの比、1: √2 (1: 1.4142・・・)になっています。
業界用語に近いような気もしますが、正方形の対角線の長さを長辺とした長方形を「ルート長方形」と呼びます。ルート長方形は、半分に折っても相似ですから、再びルート長方形になります。ありがたいし美しいという評価もできますね。でも、どこまで進めても同じことが繰り返されますから、ルート長方形の縦横比は整数比では表現できません(無理数になります)。
さて、黄金比に対抗するわけではないでしょうが、正方形の一辺とその対角線の長さの比 1: √2 を「白銀比 silver ratio」といいます。

コピー機を使って拡大・縮小すれば、文書のサイズをそろえるくらいは簡単にできるわけです。もっとも、紙の使用を極力減らしましょうという時代になった今では、電子ファイルが存在すれば OK です。紙のサイズではなく、書かれている内容で勝負しましょう。
黄金比は「美しい」白銀比は「かわいい」?
あるサイトで、平安京の街並みに白銀比が取り入れられている、という記述をみつけました。これはおかしいのではないか。正方形で街をつくれば、区画の縦横と対角線の比は当然白銀比になります。正方形で設計したら、必然的に白銀比が出てくる。円で設計すれば、必然的に π が出てくる。それだけのことでしょう。
元・水の分析屋さんとしては、黄金比も白銀比も、縦横比に表れていなくては「取り入れた」とは言えないような気がしています。あるサイトでは、こんな図で黄金比と白銀比を比較しています。

この見方ならオバケのQ太郎もドラえもんもおそらく白銀比。くまモンもひこにゃんもチーバくんも、イラストで見ればほぼ白銀比。SDガンダムも面白かったし、かわいかった。きっと白銀比。子供たちが絵描き歌で描いてもそれと認識できるようなキャラクターの多くは白銀比。
もはや、一生懸命探さないでください、の領域になっているような気がしてなりませんけど。まあ、ええか。「かわいい」は正義。逆らってはいけません。