alchemist_380 のひとりごと

元・水の分析屋さんがブツブツ言います

2024-01-01から1年間の記事一覧

亜硝酸態と硝酸態の窒素の分析

徒然草 第一二七段 改めて益(やく)なきことは 改めぬをよしとするなり 兼好法師は鎌倉時代の末期から建武の新政のころの人。新しい制度が作られたかと思うと、すぐに廃されて別の制度になる。そんな時代を生きていた。そしてこのように考えた。改めてもし…

アンモニア態窒素の分析

論語・学而/陽貨 より: 子曰 巧言令色 鮮矣仁 子曰く、巧言令色、鮮(すく)なし仁 言葉巧みにおべんちゃらを使い、人から好かれようと愛想を振りまく。そのような者に真の仁者はいない。 それと対句のように扱われるのは、論語・子路 より: 子曰 剛毅木…

無機の「窒素三態」

前回の振り返り: 清少納言は細やかな心の持ち主だったと信じるに足る材料がありました。やってしまうタイプの人とその職場環境には、必要なはずの知識も職務への責任感も足らなかったようでした。消してしまいたい黒い過去は、誰にでもあるのでしょうけど。…

リン酸塩とケイ酸塩の分析法 (3)

NHKの大河ドラマ「光る君へ」、毎回楽しみに見ています。吉高さんのまひろはさすがですが、ウイカさんの清少納言も、才気煥発、なかなかのはまり役ではないでしょうか(ドラマでは「ききょう」ですが、清原元輔の娘、本当の呼び名は不明です)。 ネット上で…

リン酸塩とケイ酸塩の分析法 (2)

4月16日、道南、松前町に桜前線が上陸しました。松前城のサクラは種類が多くて、早咲きのものも、遅れて咲いてくれるものもあるので、長期間にわたって楽しめます。 さて、こちらは函館地方気象台 4/18 発のさくらの開花情報: 4月18日 函館でサクラ開花です…

リン酸塩とケイ酸塩の分析法 (1)

海、湖沼、河川などの水は、色々な物質を含んでおりますが、それらは必ずしもすべて溶けているわけではありません。無機態で存在することもあれば、有機態になっている場合もあります。栄養塩の分析においても、何を測定するつもりなのか、常に目的意識を明…

さかなのエサのエサのエサ

北海道にも待ちわびた春がやってきたようで、そこかしこで植物の成長ぶりが目立っております。海に目を向けても、海水はまだ冷たいとはいえ、植物プランクトンの活動が活発化する季節(のはず)です。 さて、海洋のプランクトンの体を作る物質に関連して、20…

これは小馬鹿にしているのに違いない

今日は何もアップする気はなかったのですが、新聞記者さんの妙な言葉遣いへの抗議の意味で。当日のうちに書くだけ書いておきます。 本日(2024/04/10)の北海道新聞、地域の話題の紙面です。私は函館市に住んでいるので、道南のバージョンを見ております: …

揺れる、ゆれる 回る、まわる

鞦韆院落夜沈沈 4/8のこと、「ブランコ」は春の季語です、って、NHK北海道、夕方のニュースでやってました。一方、「滑り台」は季語ではないということでした。まあ、「ジャングルジム」「シーソー」「鉄棒」なども含めた広場や公園の遊具は、冬じゃないよね…

デンプン、ヨウ素で青くなる

小学校の理科で、デンプンにヨウ素液をポタポタと滴下すると、青紫色になるよ~っていう実験をしませんでしたか? これは「ヨウ素デンプン反応」として、古くから知られていた化学反応ですが、どうして青くなるのかが正しく理解されるようになったのは、元・…

ウソやで・・・

4月1日でございます。だからっていうことでもないのですが、ウソくさい話をいくつか紹介してみたいと思います。 円の面積、球の表面積の求め方 円の面積は (半径)×(半径)× 3.14、ちょっと成長すると πr2 って学校で習います。円周率を π と書くだけでエ…

いま、日本海固有水は・・・

今日は3月29日。日本全国の広範囲で雨降りとなっています。わが家の庭にも「友待つ雪」が残っておりましたが、「雪の友」はもうやって来ませんでした。全部とけてしまったのです。本格的な春が来ますね~ 日本海の Hypsometric Curve と box model への応用 …

日本海の深層水はどのように形成されるのか

いま政治や戦争の話をしようとは思っていませんが、黒海の話題からです。 黒海 Black Sea の地理的位置・・・ヨーロッパとアジアの境界 ウクライナもロシアも主要な港をもっている黒海は、ボスポラス海峡-マルマラ海(i)-ダーダネルス海峡を経て、エーゲ海、地…

ミニチュア・オーシャン

「海賊王に俺はなる」だとか、「七つの海を制覇する」とか。海の男には何か夢があるらしいです。分析屋さんとして観測船に乗っていた身としては、そういう類いの夢はありませんでした。ありませんでしたが、船員の身分(海事職)でもないのに、船に乗って収…

物質はなくならない

千秋庵さん、絵を拝借します! 「出てきた出てきた 山親爺~♪」のテレビCMが約26年ぶりに復活するそうです! CMソングは、札幌出身の蔦谷好位置さんがアレンジ、函館出身の YUKI さんが歌うんだって! 「故郷に錦を飾るとはこのこと。道産子の誇り、山親爺と…

説明は不十分なままです

とにかく見ていただくのが一番だと思うので、まずはこちらから。 Nature 478, 435-436. (2011年10月27日号のオンライン特集より) 4つの図がありますが、いちばん左のパネルによると、水素爆発が起こる前から放射性物質が漏れ出していた可能性があるようです…

満干潮が1日2回でない話

今年もまた「3.11」がやってきます。最大震度7を観測した大きな揺れと、それに続く巨大津波。人間も、人間の作ったものも、ことごとく津波にのみ込まれました。私はその当日、地震発生直後から各地の潮位観測データをモニターしていました。東北地方太平洋側…

日本海の潮の満ち干

元・水の分析屋さんの高校生時代、理科の4科目(物理、化学、生物、地学)は、理科系志望だと物理・化学、文化系志望だと化学・生物の組み合わで履修するように勧められていたと記憶しています。おお、地学はどこへ行ったやら。変わり者の誰かさん、数学「Ⅲ…

リマン海流は実在するのか?

2024/02/24 読売新聞によるストーリーより東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、日中両政府が専門家による協議を今年1月に始めていたことがわかった。日本は、科学的根拠に基づく議論を通じて中国側に処理水の安全性を粘り強く訴え、中国に…

正多面体と愉快な仲間たち

選挙での票を目的に特定の団体とお付き合いするのは好ましくない・・・と書いてみましたが、どう思われますか。確かにそうだとお考えの方でも、某与党と某宗教団体との話なのか、某野党と某労働団体との話なのか、で意見が違ってくるかも知れませんね。 差別発…

錯イオンと正多面体

中学生の数学で出てくるらしい「オイラーの多面体定理」を覚えていますか? 世界で2番目に美しい公式(1番目は 1, i, e が出てくる有名な式です) どれを足して何を引くのか分からなくなった人も多いでしょうが、中学生向け受験対策のサイトによると、この…

配位結合の話

世界一短い手紙のやりとりをご存じでしょうか。「?」への返信が「!」というもので、もはや言葉は不必要、記号のみで十分に用が足りています。 これは、ヴィクトル・ユゴーが旅行先から出版社に向けて「新作の評判は?」と尋ねたのに対して、出版社から「す…

私たちの食卓にアムール川の恵み

元・水の分析屋さんの学生時代のこと、海水中の微量金属元素の濃度を測定するという研究テーマをいただいておりました。海水が相手ですから、旧Ia族(アルカリ金属)のリチウム Li、ナトリウム Na、カリウム K、ルビジウム Rbに、旧IIa族(アルカリ土類) の…

なぜオホーツク海は凍りやすいのか

気象庁の観測の話になりますが、流氷初日(First date of drift ice in sight)は、「視界外の海域から漂流してきた流氷が視界内の海面で初めて見られた日」とされています。よって、海上で見つかったとしても、河川から流出した氷だと判断できればスルーし…

風向きどおりには流れない

最初にお詫びと訂正です: 前回のメタンの生成エンタルピーを求める問題、③式右辺の「CO(g)」は「CO2(g)」の誤りでした。コピペを何度も繰り返している人「あるある」、どうか、どうか、ご海容のほどお願い申し上げます。 ところで、一昨日(29日)のニュー…

バラバラにしても再構築できる

「袖振り合うも多生の縁」などと申します。すべての出会いは単なる偶然ではなく、深い宿縁によって起こるもの、ご縁を大切にしましょう・・・これ、元・水の分析屋さんは「他生」だと思っています。「多生」も「他生」も仏教起源の言葉に違いないでしょうが、ち…

ヘスの法則・・・途中経過は無関係

遅ればせながら、高校化学の学習指導要領が変わったことを知り、社会人になってから修正した知識でさえも細部がずれていることに気づいて、いささか慌てております。元素の周期表、「族」の名前が 1~18 になったのもだいぶ前のことですが、12族の扱いが変わ…

ヘスの法則・・・の前にエンタルピー

昨年末、燃焼についてあれこれ書いたところですが、私たちは燃焼という現象なくしては生きていけません。何かを燃焼させたときに発生する熱を利用することこそ、人類の文明の根幹をなしていると言ってもよいくらいだと思います。 熱は物質(物体)の温度を高…

「ブロッカーのコンベアベルト」再確認

Wikipedia 的な紹介になりますが・・・ ウォーレス・スミス・ブロッカー (Wallace Smith Broecker, 1931-2019): 1975年に大気中の CO2 が増大すれば気候が温暖になることを指摘して(i)、地球温暖化(Global Warming)という用語を一般に広めた。 (i) BROECKE…

観測データが語る海洋深層の循環

ここのところ(昨年来)、三陸沖の表層水温が高い状態が続いております。気象庁としては、この海域の黒潮系水の北限を100m深水温15℃で見ていますから、下の図によれば、東経146度付近で北緯40度よりもちょっと北まで届いています。 海面水温なら衛星からも見…