「~ではない」とか「~していない」とか、否定的、消極的な内容を証明することは、「~である」とか「~した」とかの証明に比べて困難であるのがふつう。法律や議会でのルールでは、原則として「存在すること(肯定)」や「事実があること」を主張する側が証明の責任(立証責任・証明責任)を負う。 そんなこと、分かってますよ。
だが、物証を突きつけられると「そんなことはしていない」。状況証拠で外堀が埋まっていて「限りなく黒に近いグレー」でしかなくなっている、そんな政治家を助けるために「悪魔の証明」などと安易に言ってほしくはない。「詰んでいる」政治家は、信用を失っているんです。それが「やめろ!」って言われる一番の理由。「信なくば立たず」。安×氏も岸○氏も、この論語の教えを強調していましたが、どうでしたか? 高△氏も同じ言葉を使っていましたよ。
一部?報道の内容を「やってない」と否定するばっかりで、明確に否定する材料は何も示さない(示せない)。「寝てない」アピールばっかりで国会ではできるだけ「話さない」。このような態度の悪い人なのに、「悪魔の証明」を求めるのは筋違いだとか、かばっている場合ではない。ここ数日の状況からも、丁寧に説明すると言いつつ、会期延長すれば何とかなる、と考えている様子は十分にうかがわれる。それでも高△氏を強く支持する方々へ。
皆さんの目は節穴で、耳はキクラゲなんですか?
さて、今日は「不可能性の証明」について、その第一話。
「有理数 rational number」と「無理数 irrational number」
新解さん(第八版)によると、有理数とは「分母が自然数、分子が整数であるような分数として表せる数」です。分母が 0 でないことを示していますね。ついでながら、ご丁寧なことに、「整数の ratio(=比)で書ける数」の意の rational number を不適切に訳した語、という説明付きです。「有理数」ではなくて「有比数」と訳すべきだった、とかいう話もあります。
でもね、英語の ratio は、計算、理性、理由といった意味をもつラテン語 ratio(綴りが同じ)に由来する。「計算された関係」とか「理性的な判断」とかいった意味があるのだそうです。ならば、やっぱり「有理数」でいいじゃん。今さらゴタゴタ言うんじゃないです。
さて、冒頭に書いたように、一般に「~ではない」とか「~していない」とか、否定的、消極的な内容を証明することはムツカシイです。実数のうち「有理数」でないものを「無理数」とよびます。も一度新解さんにお願いしたら、見出し語「無理」のところに「―― 数」として登場していました。そうか、そうきたか。説明がムツカシイ、説明しにくい数なんですかね~ いえ、勉強になりました。
あ、そうでした。書きそびれるところでしたが、無理数は英語で irrational number といいます。この irrational の意味は、理不尽な・不合理な・不条理な・・・とか。まあ、罵詈雑言(i) を投げつけられているようです。まあ、頭に IR(統合型リゾート)がくっついているのを見れば、ろくなものではないだろうと想像されます(もちろん冗談です)。
(i) 前回も登場した言葉ですが「まげん・ざつごん」と読むのではありません。
\(・_\)それは(/_・)/おいといて。
確か、中学生の数学の範囲で「√2 は無理数である」の証明を学習するはずです。結構ムツカシイですね。概略こんな感じで「有理数ではない」ことを示します:

この証明では、「【補題】2乗して偶数になる整数は偶数」ということを、すでに知っていることになります。整数は偶数と奇数とに分けられますから、「奇数を2乗したら奇数」であることを言えれば【補題】も OK となります・・・ということで、ここでは演習問題みたいにして、とりあえず「明らか法」(i) の出番にしておきますね。
(i) 現役受験生諸君へ。「明らか法」による証明とは、確かなことかどうか自信がないとき、試験の答案には「明らかに●●であるから」とか「◇◇に等しいことは明らか」とか書いておいて、先生に呼び出されるまでに詳しく調べておく、という、優れた「とりあえずの証明」手法です。もちろん、先生に呼び出されるかどうかは、あなたの普段からの行い次第です。話を聞いてもらえなかったら、潔くあきらめましょう。
まあ、それはさておき、「はい、ここ、試験に出ます~」と言われて上のような証明を覚えるのは大変です。元・水の分析屋さんとしても、有意義だとは感じられない。せめて下のような形で鑑賞して、カッコいい証明の流れを覚えていただきたいもの:

(*)式の両辺を素因数分解すると、左辺には素数 p が奇数個あります(b2 に偶数個あって、その前にもう1つ)。一方、右辺には a2 に偶数個あります。というわけで、この等式は成り立ちません。すっきりした論理ですね。
この証明だと、分子・分母が互いに素である必要はない。そして、√2 のときのような【補題】を持ち出すのではなく、「素因数分解の一意性」(ii) という、より基本的な原理原則に基づいている。ここが大事なところです。
(ii) 自然数(正の整数)は、「1」と「素数」と「合成数」に分類できる。合成数は素数の積で表現でき(素因数分解)、それは積の順序を除くとただ1とおりである。「1」が素数から除外されている理由は、「1」を素数にすると素因数分解の一意性が失われるからです。たとえば、「12」は「22×3」ですが、「1」を使うと「1×22×3」「12×22×3」・・・のように、際限なくなってしまうので。
なお、合成数が素因数分解可能で、素因数分解が一意であることは「算術の基本定理」と言われます。定理ですから、ホントはきちんと証明されるべきこと。高校生が学ぶ知識で証明できるので、「悪魔の証明」レベルではありません。ただし、大学入試などでは証明なしに使って大丈夫らしいです。
証明できるはずがないことを歴史的事実であると主張する首相
「126代にわたって、男系で皇統が継承されてきたという世界でも比類がない歴史的事実こそが、天皇の権威と正統性の源だと考えております」だそうで!?
初代の神武天皇は、日本書紀によると127歳くらいまで在位された。海の神の娘で実体は「ワニ」のタマヨリビメの子です。これが歴史的事実であるはずないでしょうし、母方とはいえ、人間ではない血をひいているのはマズいんではないでしょうか。126代のスタートがこんなものなのに、その先を「歴史的事実」だと大マジメに主張するんですから、「悪魔の証明」であることは先刻ご承知のはず。頑張って証明してほしいです。逃げるなよ!
また、上のように主張する人たちは、女性天皇は実在したが、女系の天皇はいない、とも、声を大にして主張します。そこまで言うのであれば、天皇陛下におかれましてはご側室を・・・とお願いするのが筋というものじゃないでしょうか。一夫一婦制で男系をつないでいくなんて、ムリがありますよ。元・水の分析屋さんの実家は男二人の兄弟ですが、妻の実家は二人姉妹です。世の中そうしたものです。天皇家だけが偏りなく男系をつなげる、と期待することはできません。
そして大昔には、系譜が途切れたところで、「応神天皇五世の子孫」というふれ込みの「継体天皇」が登場した例はありますが、天皇の跡継ぎ候補になるような方が、なぜヤマトをはずれて近江地方に定着していたのか。今日的には、皇籍を離れて久しい家系から養子をお迎えする・・・知らんけど、「五世の子孫」どころじゃない血縁の遠さ。そんなんで正統性が担保されているのですか? 「血筋の証明」も大変ですよ。
ついでですが、神武天皇、カムヤマトイワレビコは、太陽神(女神)に遣わされた天孫の系譜に属してます。そもそも女系がスタートなんじゃないのかな?
最後に。「無理数」は扱いがムツカシイ。「無比数」にしておけば、かゆみ止めにはなったかも知れませんね、ムヒ。 by 池田模範堂
といったところで、今回は、ある数が「無理数である」ことを「有理数である」とすると矛盾に導かれるという「背理法」で証明する、というお話でした。ほかの話は全~部オマケです。
それではまた~


