alchemist_380 のひとりごと

元・水の分析屋さんがブツブツ言います

不可能性の証明 (8)

中部電力、浜岡原発の廃炉作業の費用請求でも不正を働きましたね。謝罪会見での発言には驚きを禁じ得ませんでした。「ステークホルダーの皆さんにご迷惑をおかけした」とか。利害関係者にご迷惑とかでは済まないはずです。公金をだまし取ろうとした重大な犯罪です。そこんとこ、自覚しているのでしょうか。
今年1月、浜岡原発の適合性審査での不正が明るみに出た際にも、プレスリリースで「地域の皆さまをはじめとするステークホルダーの皆さまからの当社原子力事業に対する信頼を失墜させ・・・」って書いていますから、「会社ぐるみ」での犯罪行為を「ステークホルダー」との信頼関係の問題に矮小化しようといるのは見え見えです。優秀な弁護士を雇っておられるはずなのに、否、そういう連中を雇っているからこそ(笑)。
他の電力会社も同様なのですが、高い給料もらっている割に、倫理観というか責任感というか、社会人としての意識の持ちようからしておかしいように思います。原子力発電の安全性がどうであるか以前の話。厳しく断罪されるべきでしょう。

 

そんなことより、さらに番組は続く・・・不可能性の証明、8回目です。

 

まず "n =4" の場合の証明をもう一つ

あの有名な「ピタゴラスの定理」。その証明法は、類似品をどのように束ねるかにもよるでしょうが、知られている限り数百とおりもあるそうです・・・「○○である」ことの証明は、大勢で寄って集って取りかかれば、たいてい何とかできるとしたものです。フェルマーの最終定理も、早くから解決していた "n =4" の場合の証明はいくつもあります。ネット上でみつけた例を一つ:

希暮 竜輔 氏 による(https://hitorinomeaki.apage.jp/file/62e8e7f047579.pdf

±√2xy が出てくるように仕向けて、zab と分解してから積が z4 になる条件、という流れが巧妙だと思いました。頭の体操、脳ミソコネコネ。助かります。

 

「鳩の巣原理」とは?

鳩の巣箱をイメージした呼び名ですが、一般には「n 個の物を m 個の箱に入れるとき、n>mならば、物が2個以上入っている箱が必ず存在する」のようになります。

一時期ほどは流行らなくなりましたが、「ソーシャルディスタンス」を確保する観点の問題からいってみます:

「一辺 15メートルの正方形の部屋に10人が入ると、2人の間の距離が 7.1メートル以下になるペアが必ず発生することを証明せよ」

考え方としては「一辺 15メートルの正方形の部屋に 9人いるところに、2人の間の距離が 7.1メートル以下にならないように10人目を配置することはできない」と言えればよいでしょう。なので、これも「不可能性の証明」の一側面。

9コの箱に青い9人を割り振って、赤い10人目を広そうなところに・・・

左の図を見ただけでは分かりそうにないですが、右の図では 15m×15m の正方形を分割して 5m×5m の正方形 9コにしました。この小正方形の対角線の長さは 5×√2 ≒ 7.071m ですから、同じ正方形に 2人以上入るとその距離は 7.1m以下になるはず。ここがポイントです。

9コの小正方形に10人入ってもらうのですから、どれかの小正方形に 2人以上入らざるを得ない。言い換えると、そういう小正方形が最低でも一つ発生します。少なくとも 1コの箱には 2人以上入っているのは明らか(どこかに書いた「明らか法」とは違います)ということで証明終わりです。

このように「nコの箱に n+1コ以上入れる」⇒ 「必ず重複が生じる」あるいは「重複なしには実現できない」形の問題には、「鳩の巣原理」がピッタリの解法になります。

 

上の問題では正方形の対角線の長さを使ったので、7.1 という半端な数が出てきてしまいました(5√2 よりはマシであろう)。キリのよい整数でやってみるなら、部屋の形を正三角形にすればよい。

実際、「一辺の長さが2の正三角形がある。この内部に、どの2点間の距離も1以上になるようにいくつかの点をとるとき、5コ以上の点はとれないことを証明せよ」みたいな問題が中学入試で出たらしいですね。

正三角形の内部に一辺よりも長い線分をおくことはできませんから

これも「nコの箱に n+1コ以上入れる」問題になっていますね。

 

一見してそうは見えない場合

次は、「鳩の巣」だと気づくまでに一ひねり必要な問題。「格子点」を線で結ぶ、というのですが・・・

どこをどうすれば「鳩の巣」になるでしょうか

ホントは全座標平面を対象にしてもいいのですが、ここでは x >0, y >0 (第一象限)だけで考えてみます。座標軸を平行移動すればどこでも OK になりますからね。

さてと、互いに異なる格子点「5つ」を選ぶ。この問題が「鳩の巣」ものだと知っていれば、この時点で何かが「4コ」になっていることに気づくわけですが、ヒントなしではそうはいきません。でもね、4=2×2 ですから・・・・・・ これがヒントです。

偶数 even 奇数 odd の2分割から 4とおりの分類ができます!

2点の x, y 座標が偶数か奇数か、その組み合わせを考えると 4とおりの分類ができます。これが 4つの鳩の巣箱。5羽目の鳩がやってくると、どこかで 2羽以上の巣箱ができますね。

ちなみに、ここでは 2次元でやりましたが、3次元 x, y, z 座標でも同様な問題を作ることができます。その場合は、2×2×2=8 ですから、「9つの格子点を選べば」という問題にすればいいですね。

 

最後に:

8/17 に「アローの不可能性定理」について書きました。「高度な判断力を持つ理想的な独裁者による決定が何よりも優れている」と。

安倍政権の時に作られた「内閣人事局」。国家公務員の幹部人事の一元管理や人事行政の総合調整を行うため、内閣官房に置かれている・・・といいますが、早い話が「内閣の考え方に従わない官僚は飛ばす」ための組織です。内閣が各省庁の官僚人事を操るようになったので、世のため人のための「正論」も、行政の継続性を考慮したうえでの慎重な意見も、簡単に握りつぶされるようになったと(元・水の分析屋さんは)考えています。現政権も・・・そうでしょ?

誰かさん、「高度な判断力を持つ理想的な独裁者」のつもりなんでしょうか(大笑)。

 

今宵はここまでに致しとうござりまする・・・

 

不可能性の証明 (7)

【共同通信によると】
熊本県を除く九州6県の宿泊施設で、先月28日の熊本地震後に計約17万4千件のキャンセルが出たことが20日、分かった。交通網の寸断など、大半が地震を受けた対応とみられるが、地震による建物損壊が集中したのは熊本県の一部に限られており「風評被害だ」との指摘がある。熊本県内でも被災地から離れた阿蘇地域などでキャンセルが続出しており、政府は宿泊費やツアー代金の一部を公費で負担する「九州応援割」を実施する方針
(中略)
最多は鹿児島の11万1749件(7日時点)。熊本と鹿児島を結ぶ九州自動車道と九州新幹線の寸断が影響した。両県を含む数県をセットで周遊する旅行プランが多いことも、被害の少ない鹿児島のキャンセルを増やした可能性がある。

 

言葉尻をとらえたみたいで恐縮ですが、「風評被害」だと「ジッパヒトカラゲ」にするのはよろしくないと思うのです。

風評被害とは、根拠のない噂や不確かな情報、誤解などが世間に広がることで、本来は関係のない企業や個人、地域などが、売上の減少やイメージの悪化といった不利益や損害を受けることだそうです(ネットであれこれ調査して確認)。

であれば: ニュースの最後に書かれていたように、熊本が被災したことで交通が寸断された影響は間違いなくあるし、九州各地を周遊するコースでの被災地を含むものもあります。そういう「根拠」があるケースもひっくるめて「風評被害」にするのは、どうでしょうか、という意見です。

熊本県には泊まらないし通過もしない。そういう旅行プランまでキャンセルされるようなら、風評被害という表現も仕方ないですが、多くの事例は当てはまらないのではないでしょうか。話が違うと言われるのは承知ですが、個人的には、学校で発生した暴行・傷害・窃盗・恐喝などの犯罪を全部「いじめ」にしてしまうのと同じ性質のものを感じます。小さいようでも認識に間違いがあると、適切な解決策、支援策を考える妨げになってしまうのではないかと心配なのです。

いずれにしましても、震災で観光業にも大きな損害が及んだことは間違いない。これから実施されるであろう「九州応援割」などを利用した、被災地を支援・応援する周遊プランが新たに展開され、たくさんの人が利用されるよう願っています。

 

今回は有名な「フェルマーの最終定理」。真っ正面からはとてもとても。ほんのちょこっとだけですが、近づいてみたいと思います。

 

「解が存在しない」ことを証明する有名な問題

「フェルマーの最終定理」・・・特に数学好きというわけではない人でも、耳にしたことくらいはあるでしょう。

問題の内容は中学生レベルの知識で理解できるはず

方程式に入っている指数は、"n" と書いたんですから自然数と理解してください。

まず、"n=1" なら、自然数同士の加法ですから、言うまでもなく解はいくらでもあります。"n=2" の場合も、有名な「ピタゴラスの定理」になっているので、これまた解は存在します。ところが、"n ≧ 3" になると突然「自然数の解はない」というのですから、これは意外性のカタマリです。

17世紀のフランスの数学者(本職は法律家)のフェルマー(1607-65)は、ディオファントス(i) の著書『算術』を研究しており、思いついたことを本の余白にメモしていたといいます。

(i) ローマ帝国時代に活躍したエジプトの数学者。Wikipedia には「推定生年 200年 - 214年、推定没年 284年 - 298年」と書かれていました。今の日本列島のどこかで卑弥呼が活躍した時代に近いかと。

フェルマーのメモは48カ所あって、47個までは真偽が確認されました。最後まで決着が付かなかったのが上の予想(今は証明済みなので、定理)です。ご丁寧なことに、「この定理に関して、私は真におどろくべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる」という書き込みだったので・・・ ちゃんと書いてくれれば、おそらくは20世紀までに「フェルマーの勘違い」だと理解されていたはず。

なんとも罪深いことですが、近代以降の数学のいろいろな分野での発展につながったのですから、まあ、いいじゃないですか。"n=3, 5, 7" といった素数の場合から研究が進んだわけで、困難な道ではあっても、誰もが黙って見ていたわけじゃない。

それはそうと、フェルマー自身も "n=4" の場合を証明しているようです。彼の得意技「無限下降法」による証明も、ネット上によく出ています。それをなぞっておけば簡単なのですが、AI がやりそうなことを自分がやるのは、やっぱり癪に障ります。なので、いろいろな整数問題へのアプローチを参考に、自分が「やってみた」のを紹介しようと思います。間違っていたらゴメンナサイ。

 

"n=4" の場合の証明

受験生の皆さんは、和の形で書かれた式を積の形にすると、何か違ったことが分かるという経験を積んでいると思います(いわゆる因数分解です)。まずは、そこからスタートしましょう:

第一段階です:これは簡単な式変形

ありがちなことですが、x<z, y<z は明らかです。これを忘れてはいけません。そして、もともとの数の大小関係は、2乗、3乗、4乗しても変わりません(自然数が相手ですから)。そこで・・・

第二段階です:大小関係が分かっている自然数ですから・・・

上のようになる理由はこうです:

y4 が3つの相異なる数の積なのですから、それぞれの数は 1, y, y2, y3 のどれかになります。ここで、一番小さい数 z-x が y だと、それよりも大きい 2つの数 z+x と z2+x2 は、小さい順に y2, y3 ということになる。これでは y4 は構成できません。よって、一番小さい数 z-x は 1。あと 2つの数で y4 を構成できる組み合わせは、z+x=y, z2+x2=y3 しかないのです。そして・・・

第三段階: (1) ~ (3) を連立させて解決に向かいます

(*)式は y=1 のとき成立しますから(y=1 がひとつの解、ということ)、y-1 をくくり出して因数分解できます(多項式の除法は知っているはずです)。もうひとつの因数 2y2+y+1 は「平方完成」によって常に正(>0)となることが分かります(ii)

(ii) 別解です: f(y) ≡ 2y2+y+1 とおけば、f'(y)= 4y+1。f'(y)=0 から f(y)y=-(1/4) で極小なので、常に正(>0)となることが分かります。

最後に y=1 が使える解かどうか、これを確かめます:

「ある」と仮定して議論した結果、矛盾が生じた、ということで

残念ながら y=1 だと x=0 となってしまい、「自然数の組」という話に矛盾してしまいました。

もちろん「残念ながら」と書きはしましたが、背理法なので「作戦どおり」です!

 

以上、フェルマーの最終定理、n=4 の場合の「不可能性」の証明でした。

 

今日のオマケ:

宮城県高等学校野球連盟による「野球用語を考えてみませんか?」という問いかけ・・・だというのですが・・・

 

「いじめ」「ハラスメント」「風評被害」・・・などなどの方がよほど問題では?

伊集院光さんが猛然とツッコんでいらっしゃる:

「何を言っているんですかね? 宮城県の高野連だけ? 笑われるっつーの。そんなこと考えている暇あったらもうちょっといいアイデアを出せ。7回制でもなければ。盗塁は『盗む』からダメとか、『刺す』からダメだとか、デッドボールは『死』だからダメだとか、もういいから」と強い口調で批判。

続けて、「宮城県高野連の誰が言ったのか記名で言え。心の底からバカにしてやるから」

 

あ~ 不適切かもしれませんが、伊集院氏に全面的に賛成します! 匿名でくだらない正論みたいなことを語るのは、卑怯者のやることです。

元・水の分析屋さんの好きな言い方だと「後ろ指さして、末代までの笑いものにしてやるわ~」になります。まあ、我ながらひどいこと言うオヤジだな・・・なんですけど(笑)

 

不可能性の証明 (6)

終戦記念日の全国戦没者追悼式における首相の式辞から:

戦後、わが国は一貫して、平和を重んじる国として歩みを進め、世界の平和と繁栄に貢献するために力を尽くしてまいりました。

戦争の惨禍を、二度と繰り返させない

戦後81年がたちますが、歳月がいかに流れても、この決然たる誓いを、世代を超えて継承し、貫いてまいります。

 

「繰り返さない」ではなくて「繰り返さない」。従来(というよりは最近)の首相式辞は「戦争の惨禍を繰り返さない」でした。この一文字の違い、私もすぐ気づいた一人ですが、やはり多くの方から指摘があったようです。そして、「歴史の教訓」もないし「反省」もしていない。それでも「インド太平洋の輝く灯台として頼りにされる国になれる」というのは、根拠薄弱も甚だしい。

敢えて使役の表現を用いたのですから、「過去を省みて、(自ら)戦争を繰り返すことのない未来」を語ったのではなく、「これからは(他国に)戦争の惨禍を起こさせない国になれる」と主張しているようにとられる言葉です。防衛力増強によって抑止力を高める、と宣言したとさえ読めます。

そのように言われると、ご本人は気色ばんで(もしかしたら涼しい顔をして)否定するのでしょうが、忘れちゃあいけません。どのように受け取るかは、あなたが決めるんではなくて、相手が決めることです。

まあ、1995年には、戦争責任に関して、「自分は当事者ではないから、反省なんかしていないし、反省を求められるいわれもない」と言い放った人ですから、三十余年を経たとしても根本から変わるとは思えない。

毎日が日曜日のオヤジごときが言うのもナンですが、一国の首相たるもの、過去をきちんと省みて、人を見下すような、自己中心的な発言を繰り返さないことが大切です。

 

「アローの不可能性定理」の説明(今回はムツカシイので証明はしません)

アローの不可能性定理は、アメリカの経済学者ケネス・アローが1951年に発表した数学的な定理。

「2人以上の投票者に3つ以上の選択肢が存在する場合、公正な投票制度は存在しない」とか、「複数の人がそれぞれの好みを持っているとき、全員が納得するような公平な方法で全体の意見をまとめることは不可能である」とか、「完璧に公平で欠点のない方法によって、構成員の意見をまとめて社会としての最良の選択を決めることはできない」とか、説明はいろいろですが、何にしても否定的な内容を示しています。

 

アローの設定した問いを単純化:

複数人の「好み(順位付け)」を集めて、全体としての「好み」を決定する —— それを「公平に」行うことはできるのか?

 

突き詰めると「公平」って何だろうな? ということになるのですが、「いかにもっぽい」ことならいくつか考えられるでしょう。

(1) 基本、独裁者はいない

 これは私たちが「民主的」だと考える基本中の基本。特定の投票者の選択が他の投票者の選択を支配することがあってはならない。

(2) 全員一致性(全会一致性):パレート効率性と呼ばれる

 もし投票者全員が「A よりも B を好む」なら、社会全体の選択も「A よりも B を好む」のでなくてはならない。全員が好むものは社会全体も好むはずだから。

(3) 無関係な選択肢からの独立性

 「A か B か」をの比較結果は、ほかの選択肢 C の存在・非存在に左右されない、ということです。ムツカシイように感じられますが、もう一人の候補 C が選挙戦の途中で突然死亡したとしても「そんなの関係ね~」といったところでしょうか。

(4)全員の意見を取り入れる

 当たり前のことですが、個々の投票者の考え方がどんなものであっても、排除されることはない。

(5)「好み」の順序は「完備性」と「推移性」を満たす

 任意の2つの選択肢について「A > B」もしくは「B > A」が成立(完備性)。そうであれば「A ≧ A」(反射性)も OK。そして、「A > B」かつ「B > C」のときは「A > C」となることが要求される(これが推移性)

 

おおむねこんなものでしょうか。でもね、そんな理想的な話が簡単に通るとは思えません。元・水の分析屋さんはもはや宮仕えしていませんので、誰に「意地悪やなぁ」と言われても怖くない。簡単に分かる問題点を述べておきましょう・・・

 

(5)で 完備性と推移性を「満たす」「要求される」としましたが、理由は簡単。3人の投票者が 3つの選択肢に順位付けした結果が下のようになったとすると・・・

順位を付けたいのに、ジャンケンと同じ「三竦み」の状態です

世の中には、なんでもかんでも「多数決」で決めればいいじゃないか、って言い出す人が多くいますが(数的に多いことだけが頼りなんです・・・誰とは言いません)、こうなっていたら多数決のやりようがありません。だから「要求される」わけ。

もちろん、「結論は執行部に一任する」と言えば誰かさんの言いなり。「仕方ない、ジャンケンで決めよう」と言っても、勝った人の独裁。どちらにしても(1)に反するのでアウトです。そもそも、なんですが、ジャンケンによる決定が行われる場面を考えてみてください。そこに至る過程からして「公平」なわけないでしょう(大笑)。

 

アローの不可能性定理の結論

アローの不可能性の定理、その結論は冷静を通り越して冷酷なもの。

上の(1)~(5)の条件をすべて満たすような決定方法は存在しない。

つまり、独裁を避け、多くの人が好ましいと考えることが優先され、無関係な要因には左右されず、みんなの意見を分け隔てなく取り入れて、そして、論理的に破綻しない。

そんな「理想的な民主的決定」は原理的に不可能である、と喝破したわけです。

さらに付け加えると、(2)全会一致性 と(3)無関係な選択肢からの独立性 を満たす、優れた社会的な意志決定」の方法があることも分かっています。それこそが「独裁制」です。早い話、高度な判断力を持つ理想的な独裁者による決定が何よりも優れている、ということです。

※ R国やC国がほぼそのようになっていること、お分かりでしょう。A国も選挙の扱いが怪しくなりつつあって・・・ J 国もね!

 

言うまでもないですが、独裁制がよいなどと、本気で考えちゃダメです。民主的であると思われるほかの条件を満たしていませんからね。

 

アローの不可能性定理は、「公平性だけで善悪を判断するのは危険」だと教えてくれているのだと思います。そして「多数決」は万能ではない(みんなで谷底に向かって突き進む覚悟がありますか?)。最後の最後まで「熟議」するのが大人ってものではありませんか。

行政府のトップは幼稚園児レベル、議員先生は烏合の衆、役人は太鼓持ちと金魚の糞・・・一応罵っておきますね。

 

不可能性の証明 (5)

前回、勇気を振り絞って?「(保守党の百田は)何かが抜け落ちている」って書いたのですが、今までのところ誰もツッコんでくれません。頭の中身のことだけじゃなくてですね・・・ ああ、どこが面白いかの説明はみっともないからやめときましょう。

「どこが面白かったかというと・・・」とやっても大笑いできたのは、「人に笑われないような立派な落語家」、先代の林家三平師匠のほかにはおられないでしょう。

 

「15パズル」の話の続き

まずは、パズルの盤面にちょこっと工夫を。

15パズルでは、空いた場所に隣り合うコマを移動させるのですが、空白があるのもナンですので、空いた場所を「16」とみなしましょう。また、4×4 の盤面に市松模様を施してみます。こんな具合です:

空いた場所を「16」のコマとみなし、背後に市松模様を配置してみた

どうしてそうするんだと言われたらちょっと返答に困る。「天下り式」と言われそうなのですが、改めて「14と15 だけを入れ替えることはできますか?」と問います。このひと工夫が大きな助けになりますから、まあ、いいじゃないですか。

○ 空いた場所を「16」とみなせば、番号 i のコマを移動させることは 16 との入れ替え=「互換」(i, 16) となる。この互換、盤面全体に及ぶことを考えると膨大な数になると思いますが、一回の互換でどんなことが起こるか、いくつかの事例を考えれば見えてくるはず。

○ そして、市松模様があれば、空所=「16」の位置の色が「互換一回ごとに入れ替わる」ことが容易に分かる。これも大きなヒントです。

これで、克服すべき困難を 2つの問題に整理できました。

 

1回の「互換」で逆順は奇数個増減

整理できた、といわれただけでは、なんのこっちゃ分かりません。どのように整理できたか分かるように、まず 4×4 の盤面、左から右、上から下へと番号を読み取ってみましょう:

▶ 左側は 1, 2, 3, 4, 5, ......, 13, 14, 15, (16) すべて小さい数から大きい数へ(正順)

▶ 右側は 1, 2, 3, 4, 5, ......, 13, 15, 14, (16) 1カ所だけ大小の順が逆(15>14:逆順)

正順はおいといて、逆順に注目します。

問題の図、左側の初期配置から 15を右にずらすと[ (15, 16) の互換]、1カ所だけ (16), 15 と逆順が発生。また、初期配置から 12を下にずらすと[ (12, 16) の互換:以下この説明を省略]、3列目は 9, 10, 11, (16) と正順ですが、その先は (16), 13, 14, 15, 12 なので、16 の後ろに 13, 14, 15, 12 で4つ13, 14, 15 それぞれの後ろに 12 があって 3つ合計 7カ所の逆順が生じています。初期配置から動かせる 15, 12 のどちらを動かす互換も、奇数個の逆順が生じる・・・ような気がしませんか?

あるコマを 1回左右に動かすと、奇数個の逆順が発生・消滅することは明らかで、逆順の個数の増減は「必ず奇数個」です。では、上下に動かした場合、逆順の数はどうなるんでしょうか。そこんとこを確かめるためにもう少し観察を続けます。1 から 8 までは正しく並んでいるとして、下の2列だけ切り取ってみましょう。

14 と15 をずらしたところから・・・

初期配置から 15, 14 の順に 2回右にずらしたところから始めます(上図左側)。9, 10, 11, 12, 13 までは正順ですが、その先は 16 のあとに 14, 15 があって、2カ所の逆順が生じています。そう、左右に 2回動かしたら 2つの逆順が生じたのですから、ここまでは OK です。

そこから 10 を下にずらすと(上図右側)、16 に続く6つのコマがすべて逆順になって 6カ所。さらに、11, 12, 13 それぞれの後ろに 10 があるので 3カ所。逆順は合計で 9カ所です。ということは、逆順が 9-2 =7 カ所増えています。奇数ですね。  

初期配置から 15, 14, 13 の順に 3回右にずらした状態(最下段が 16, 13, 14, 15)から始めても同様で、逆順の数は 3カ所から 10カ所に変わります。 10-3 =7 カ所、やはり奇数です(おヒマな方は確かめてくださいね)。

「互換」によって起こることは、上の議論から、コマを左右に動かしても、上下に動かしても、「1回の互換で、逆順の数は奇数個増減する」と、まとめられます。

 

「互換」のたびに「16」の位置の色は変わる

盤面に市松模様を付けておいたので、「16」の位置の色が「互換」のたびに入れ替わることが容易に分かります(移動先となる「隣」の色が違うのですから当たり前!)。ところで、問題提起の図では、左側の初期配置も右側の最終配置も、「16」が右下隅の白いところにあります。奇数回の互換が行われれば、「16」はどこかの黒いところにいるはず。つまり、出題図左側の配置から右側の配置への並べ替えが可能だとすると、どんな互換を繰り返すにしても、その回数は偶数回でなくてはならないことが分かります。

さて、ここでは「14と15 だけを入れ替える」ことが可能か、と問われていたのでした。空所を「16」とみなした私たちです。初期と最終の配置さえ分かっていればよく、途中経過が具体的にどうなるかは問わない、という立場は容易に理解できるでしょう。そして、最終配置は 15, 14 の 1カ所だけ逆順になっている。奇数個の逆順が生じているのだから、元の配置から奇数回の互換が行われたに違いない・・・だがしかし、元の配置でも最終配置でも、「16」は右下隅の白いところにあるので、どんな互換を繰り返すのかは知らないが、これは偶数回の互換が行われたのでなくてはならない。

実にうまいことに、「できるとしたら」と仮定した結果、矛盾が生じますね。

背理法の結論。15パズルの「14と15 だけを入れ替えること」は不可能です。

 

 

「逆に」これなら可能

ここまで「証明」にお付き合いいただいたところ、この問題はいかがでしょうか。

下の図、左側の配置から右側の配置に並べ替えできるでしょうか:

空所は「16」ですよ~

左側、空所に「16」を入れると、15個、つまり奇数個のコマが逆順になっています。右側も、すでにご承知のとおり、1個(奇数個)の逆順がある。そして、白黒の市松模様を施すと、左上隅と右下隅は同じ色です。ということで、偶数回の互換で実現可能ということが分かりました。 初期配置における空所の位置が違うだけですが、それが大変な違いだったわけです。

 

最後になりますが、「決定的に何かが抜け落ちている」人、長崎原爆忌でも残念な意見を発信しています。頭の中に「空所」があるんでないかい?

平田長崎県知事の慰霊の言葉、冒頭で「この上空で一発の原子爆弾が炸裂しました」とあるのにケチを付けたのです。「知事よ、原爆を自然災害みたいに言うのはやめてほしい。原爆は勝手に破裂はしない」・・・ (え? この表現、自然災害みたいですか?)

「一方、(鈴木)長崎市長の言葉の冒頭は『米軍機が投下した原爆』と主語をはっきり述べていた。この当然のことを、こういう場ではっきりと口にする人がほとんどいないだけに、よく言ったと思う」と評価した。

ああ、情けなや。あんた、物書きの端くれではなかったのか。「原子爆弾が炸裂しました」というフレーズを切り取って、「自然災害みたい」とか「勝手に破裂はしない」とか、よく言えたものですなぁ。それでいて、「米軍機が投下した原爆」と、その場に居合わせた人たちがよく分かっているはずのことまで、敢えて書いた方を褒めちゃう。

誰もが分かっているであろうことは、主語がなくても、婉曲的に表現しても、意図することは伝わるはずです。日本人による日本語の文であり、受け取る側も正常な日本人であればね。私個人の意見ですが、こんなひねくれた考え方、日本人として恥ずかしいわ。

もう一度言います(じゃなかった、書きます)。あんた、政党のトップなんだろ? トランプに直接言いに行けよ。アメリカだよね、原爆落としたの、って。

 

お疲れさま~ お疲れ summer... 真夏日からして少ない土地からのお見舞いで申し訳ないですが、みなさんお身体お大事に。

 

 

不可能性の証明 (4)

だからイワン、言わんこっちゃないんです。

 

まずは、車で行くのは大変とばかりに、空から視察した結果・・・

 

【産経新聞 より】

高市早苗首相は3日、最大震度7を観測した熊本県の被災地を視察した。内閣広報官のX(旧ツイッター)によると、首相は犠牲者が相次いだ大型商業施設「イオンモール熊本」や日本製紙八代工場の上空を陸上自衛隊のヘリコプターで通過する際、幾度となく手を合わせ、犠牲者を悼んだという。

 

またまた「やってます」アピールに励んでおられますが、さすがに上空から見下ろしていては、手を合わせるのには不適切このうえないのでは。でも、そのようにはお考えにならなかった。

 

【J-CAST ニュース より】

・・・ そして、さらに火に油を注ぐ形となったのは、首相官邸の公式 SNS が発信した被災地視察の動画だった。約2分の長さの動画には、高市首相が防災服姿で颯爽とヘリに乗り込む様子や被災者と握手を交わす場面などが収められ、ほぼ全編にわたってBGMが流されていた

動画の終盤には、避難所となっている教室の扉を少しだけ開け「お体だけ大事になさってくださいね」と5秒程度、声をかける場面も。最後は「全部が全部ありがたかったです」と話す被災者の声を聞く首相のカットで締めくくられている。

この動画が公開されると、否定的なコメントが殺到した。「災害対応にBGMをつけてプロモーションビデオみたいに発信する必要あったか?」「最初から最後まで総理が主役のPV」などの声が相次ぎ、炎上状態となっている。

 

全編 BGM 入りとは恐れ入ります。ずいぶんと工夫されましたね。聞こえたらまずい音声でも入ってたんでしょうか。炎上のネタ、誰が担当したのか知りませんが、動画の主役よりも物知りで手際のよい AI に処理してもらえばよかったかもしれませんね。 え? そうしたんだが・・・ って・・・

※ 言うまでもないですが、青い字は私のネタです。検索かけるまでもなく、よくできた PV だと好評嘖々、もとい、悪評紛々みたいです。

 

 

円積問題の解法:何でもありバージョン

「与えられた円と同じ面積の正方形を作る」・・・「π」も「√π」も超越数で、定木とコンパスでは作図できません。先に述べたとおり、素人考えではなくて、数学者リンデマンにより証明されていることです。

しかし、定木とコンパスにとらわれない実際家なら、こんなもの「朝飯前」、「お茶の子さいさい」です。レオナルド・ダ・ヴィンチによる方法を紹介しておきましょう。

各辺が a, b の長方形と等積な正方形は・・・作図可能です

ちょっと説明を端折ってしまいますが、面積が π になる長方形は、上のようにすれば作ることができます。さすが、ダ・ヴィンチです。そして、2つの辺が既知の長方形の面積は、四則演算と開平の手続きを正直にたどれば作図可能・・・ですが、ここでは少しだけ楽をしましょう。

2つの辺の長さをa, b が与えられた長方形を考えます。AB = a+b を直径とする円 O を描き、AC = a-b となるように円周上に C をとる。C から直径 AB を見込む円周角はもちろん直角。ピタゴラスの出番で、ここまでくれば、受験生ならお馴染みの問題でしょう。あとはよろしく・・・です。面積「π」の長方形は別な道具で作りましたが、そこから先は定木とコンパス。最終的に「√π」が作図できました。 みんなの努力を結集したようで、何とも美しく、何だか愉快でもあります。あ、これは元・水の分析屋さんの感想です。

数学者・野崎昭弘さんの「πの話(岩波現代文庫)」にはこのように書かれています:

ある人々(とくに哲学者アリストテレス)は、このような曲線(i) を使うことが気に入りませんでした。それは、機械を軽蔑し、純粋理論を重んじたためといわれますが、当時の機械技術を考えれば、正確な道具は定規とコンパスしかなかったのです。いいかえれば、

定規とコンパスだけで作図する

ということは、

あくまで正確に作図する

という精神のあらわれとみることができますし、そう考えればなるほどと受け入れやすいでしょう。

(i) 「ヒッピアスの曲線」を指しています。これを使えば円を正方形化することができるのですが、機械仕掛けによって正確に描くこと自体がムツカシイ。また、この本では「定木」ではなく「定規」が用いられていますが、言わんとすることは同じです。

 

アリストテレスが重んじたはずの「純粋な理論」は「正確に行われた実験」でしばしば覆されてきました(「真空」「エーテル」「落体の運動」・・・ などなど)。しかし、現代に生きる私たちだって、アリストテレスの生きた時代の考え方から何かを学び取ることができるはず。いや、学ぼうとしなくてはならないと思います。

 

縁日でも売っていた「15パズル」

そんなことより「15パズル」やりましょうよ。4×4 の正方形の枠に 1から15までの数字が書かれたコマが収まっています。1カ所だけある空白を利用して、コマを1つずつずらし、いろいろな配置に並べ替えるお手軽なパズルです。元・水の分析屋さんご幼少のころは、お祭りの縁日でも売っていました。

さて、下の図に示した左の整列配置から右のように 14と15 だけが入れ替わった配置に並べ替えることはできますか? というのが問題。できない、と言いたい場合はその説明を試みてください。

白抜き数字の 14と15 だけを入れ替えることはできますか?

元・水の分析屋さんの回答例をすぐに書くわけにもいきませんから、今日(8月6日)広島市で行われた原爆死没者慰霊式・平和祈念式の話題をはさむことにします。

高市首相、あいさつの中で「我が国は『非核三原則』を堅持しており、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた努力をたゆまず続けていく使命を担っている」と述べました。一方、その後の記者会見で安保 3文書の改定について問われ、「年末に向けて検討を進めているところでございますので、その書きぶりなどについて私が今予断するということは差し控えさせていただきます。ただ非核三原則を政策上の方針として堅持しているということに変わりはございません」と、はっきりと逃げ場を作っていました。非核三原則の堅持はあくまでも現状であって、安保 3文書の改定に伴ってどう変えるか、あるいは変えないか、を述べていないのです。こう言っておけば、どうなっても「ウソをついたことにならない」。いつもの手ですね。

日本保守党代表の百田尚樹(敬称、付けたくもない)は、「総理大臣、広島市長、広島県知事、子供代表など、来賓者は皆、心のこもった美しき挨拶を述べていた」と評価した一方で、「誰もが口を揃えて原爆と核を非難したが、彼らの誰1人として、それを誰が落としたのかに言及した者はいなかった。それどころか『アメリカ』という言葉さえ一度も聞けなかった」と指摘した・・・ 去年も原爆慰霊碑に刻まれている「過ちは繰り返しませぬから」に主語がないことを疑問視するような投稿をしてましたよね。それはずっと前に結論が出ていること。調べれば分かることですが、調べやしない。

これは地球温暖化じゃあないんですか? (中) - alchemist_380 のひとりごと

懲りもせずに、またやらかしてますわ。気に入らないなら、トランプに直接言いに行けよ。アメリカだよね、原爆落としたの、って。

とにかく、この人、全く学習能力がない。失礼は承知、観察すれば分かることなので言わせてください。

決定的に何かが抜け落ちていますよね!

 

さて、そんなことより「15パズル」の続きをやりましょうよ。

問題の答えは「不可能」です。多くの方が経験的に分かっているはずですが、なぜなのかを説明するのはちょっとムツカシイ。

・・・ と書いていて、説明の先がすごく長いことに気づきました。

センセイ方に悪態ついて終わりで申し訳ないですが、今日はこのへんで勘弁してやろうと思います。

 

それでは~ 

不可能性の証明 (3)

今回の眼目は、角の三等分に関する一連の議論です。

でも、まずは、私の夢に出てきた作図問題の続き。「逆数」の作図から始めましょう。

 

逆数の作図

a  に対する 1/a という「逆数」は「割り算」で求められる数です。四則計算が作図できるというのだから、作図できないわけはない。

ここでも「相似な直角三角形」をみつけることが大切

上の図は a>1 として作りましたが、0<a<1 の場合は  1/a の逆数を作図しようと考えれば、同じ道をたどることになりますね。除法の特殊な場合にあたるので、a=0 でさえなければ解決です。


以上、定木とコンパスを用いれば、加減乗除、開平、ついでに逆数の作図が可能であることが分かりました。

 

作図できる数とは

「定木とコンパス」があれば、直線と円を自由に扱うことができる。すると、「垂直な線」「平行な線」「角の二等分線」・・・などなどが作図できる。結果的に、加減乗除、開平、逆数の作図が可能である。 そういう流れでしたね。念のため「角の二等分線」の作り方も示しておきます:

任意の角の二等分は簡単ですが・・・三等分は?

AOB を二等分したい。まず O を中心として適当な半径の円を描く。円と OA, OB との交点をそれぞれ C, D とする。次に、C, D を中心として、適当な半径で(さっきと同じ半径でよい)円を描く。二つの円の交点を P とする。OP は ∠AOB の二等分線である。これは ⊿OPM と ⊿OPN  が合同であることを示せば証明できます。

たとえば、90° なら三等分できますが、任意の大きさの角の三等分はできるのでしょうか? 実は、1837年、フランスの数学者ピエール・ヴァンツェルが不可能であることを証明しました。本ブログでは、60° が反例になることを示そうと思います。準備だけしておきましょう。

角の三等分が、3次方程式の問題に置き換えられました

60° が 20°×3 に三等分できるか、あるいは、20° という角は作図可能か。そういう話が上の3次方程式の解は「作図できる数」だろうか、という話に置き換えられたのです。

 

さて、前にも書いたことですが、与えられた直線に対して、平行な線、垂直な線も作図できますから・・・方眼紙、ひいては、座標平面を与えることができます。

平行な線、垂直な線・・・方眼紙ができます

「作図」の操作によって定まる点は、平行ではない直線同士の交点、直線と円との交点、円と円との交点、のどれかです。定木は直線を引くだけ、コンパスは円を描くだけですから、これら交点の座標は、x, y の一次式、二次式(の係数・定数)から四則演算と開平で得られるはずです。

結局、x, y の一次式と二次式だけである

もちろん、2点を結ぶ線分の長さ(2点間の距離)も、2点の座標から四則演算と開平で得られます(よく使うのがピタゴラスの定理です)。

繰り返しになりますが、作図可能な点の座標は、四則演算と開平を有限回行って得られる数になることが言えます。

 

再び「古代ギリシャの三大作図問題」

さて、そもそもわれわれは、どんな作図がしたかったのか:

赤くしたところのものを作図したかった・・・が不可能でした

※ ② で「・・・(*) の解」とあるのは、60° が反例になる、の準備で出てきた 3次方程式です。
有理数は整数の比で表現できる数。有理数同士の四則演算の結果は有理数です(ただし、0で割ってはダメ)。そこに開平という演算を持ち込むと、「√」の付く数が加わります。これを有限回行うことでできる数は、有理数に「√」が何重にもなって付く数が加わったものです。2乗根、4乗根、8乗根・・・ という 2n 乗根ですね。有理数が係数となっている一次式、二次式から生まれる「作図」の結果はそういう範囲にある数になります。ところが・・・

① の「2の3乗根」は2乗根と4乗根のすき間にいます(笑)。この作図は、どんな四則演算を行っても、開平を繰り返しても、断じて実現できません。きちんとした証明は、②と同様に背理法で行われますが、ここは直感的にも分かりやすいかと思います。

 

で、ここからがクライマックス。

② について、3次方程式が出てきたからには、2n 乗根では表現できないだろう・・・ なんて考えは甘すぎます。それ以前に、開平を用いるに及ばず、3次方程式の3つの解すべてが有理数であっていけないわけがない。

とりあえず、第一段階として、3次方程式(*)には、整数解がなく、有理数の範囲にも解はないことを示しておきます。もちろん、背理法。

背理法で、整数解はもちろんのこと、有理数の解もないことが分かります

そんな解があるとしたら、と仮定して計算。その結果が「あり得ない」になるので、そんな解はない、が結論になります。

次に、有理数の範囲に解がないならば、開平を一度行った範囲(=「√」の付く数も加わった範囲)にも解がないことを示します。

ここも背理法で。

上の枠内で緑にした部分について。x の 3次式は、x の 2次式と1次式の積で表すことができます。1次式からはそのまま解が得られますが、(x の 2次式)= 0 という 2次方程式から得られる 2つの解(重複することもある)が「○○±√D」です(有名な2次方程式の解の公式!)。

ともあれ、これで 整数の範囲 → 有理数の範囲 → 開平を「一度」 の範囲 まで証明されました。そして、有理数の範囲=開平を「零回」だと思ってください。そうすれば、あとは数学的帰納法でずっと先までいけます。

結局、3次方程式(*)の解は、定木とコンパスによる作図が不可能な数になっていました。cos 20° は作図できない。すなわち、与えられた角が 60° の場合、三等分はできない、という反例が確かめられたわけです。

 

③ の「円積問題」は「√π」を作図する問題に帰着します。ところが、π は「超越数」(i)。有理数を係数とする代数方程式の解になり得る数を「代数的数」といいますが、π はそうではない。ただ、代数方程式の解でさえない数のルート開いてどうするの、といった素人考えは許されません。こういうことこそ、証明されないと、ね。

(i) 「リンデマンの定理」は π や e が超越数であることを内包するものです。ドイツの数学者、フェルディナント・フォン・リンデマンにより 1882年に証明されました。面白いことに、π+e が超越数かどうかは、今も確かめられていないそうです。

 

今回は「古代ギリシャの三大作図問題」の不可能性について、結論まで述べました。

 

 

それはそうと、なんじゃこれ?

悲願であったはずの消費税減税ができなくても平気だった総理大臣。国会が閉会したとたんに、人気が落ち目になったことに勘づいたか、あるいは、指導力とやらを発揮するチャンスと見込んだか、「来年4月から1%」と言い出した。それぞれに「実績」を積み上げてきたはずの党役員や大臣クラスの面々をアゴで使って、この案で自民党内を説得せよと。その後閣議決定に持ち込む算段。

野党も一緒になって議論したけれどまとまらなかった。ほーら、イワンこっちゃない、じゃなかった、言わんこっちゃない。野党の奴らがいたら、決められることも決められないのよ。全部無視してやったら、なんたって与党は圧倒的多数。皇室典範も改正できたし、国旗損壊罪だってできちゃったじゃないか・・・なのでしょうかね。

ついでですが、今頃になってスピードスケートの髙木美帆選手に国民栄誉賞を授与すると言い出すし。いえ、表彰には何も異論ないのですが、これが誰かさんの人気取りに利用される形では申し訳なさ過ぎる。その誰かさんのポケットマネーで、スケートリンクを一つプレゼントするくらいの度量があれば尊敬しても良いかも知らんけど。

絶対そんな度量はない。他人のカネで何かするのは大好き。自分がホクホクになるのはもっと好き。イヤらしい関西人の特質をいろいろとお持ちでいらっしゃるし、それを惜しげもなく見せてくださる。

 

何かと 無理だね~ 不可能だね~ と脱力するこの頃ですね。

 

お詫びと訂正です

今日は元・水の分析屋さんの六十ン回目の誕生日です。

でも、そんなの関係ねー。

 

 

23日の投稿、定木とコンパスによる「開平」の部分に不適切な表現がありました。間違ってはいないのですが、「ふつう、そんなことはしない」レベルのことを書いてしまっていますので、お詫びして訂正します。

 

まず、訂正すべきところを再掲:

ふつう、右側のような計算はしないとしたものです・・・ m(_ _)m

この図の解説文が特にアカンのです。「互いに相似な直角三角形をみつけて、ピタゴラスの定理も使うと、めでたく計算できます」と書いてしまいました。いやはや、こりゃあ酔っ払いの戯言だわ。なるほど、手許には p2q2 を展開して整理した計算結果のメモが残ってます。酔ってても計算できたのがうれしかったんですかねぇ。

ところが、これが夢にも出てきたので、翌朝気になって見直したら・・・笑ってしまいました。おかしかったら笑えばいいし、おかしくって笑ってもいいです(i)。おいしい話があったら笑えばいいのです。ヘソで茶も沸かしといてね。

(i) お菓子買ったら、お菓子食って、の書き換えです。

 

話を元に戻しまして・・・申し訳ない。ふつうなら、こちらのようにするものでしょう:

すごく簡単な比例計算でした

これなら「長さが 1+a の直径 AB に対して、AH=1 のところに垂線を立て、その垂線と円 O との交点を C とすれば、CH の長さが √a になる」ことが分かる。解説文は、「互いに相似な直角三角形をみつけて、対応する辺々の比を使うと、めでたく計算できます」といったところでしょう。

今回は急ぎお詫びと訂正でした。

 

オマケは論語の言葉:

子曰、過則勿憚改 【学而】

 子曰く、過ちては則ち改むるに憚かること勿かれ。

子曰、過而不改、是謂過矣 【衛霊公】

 子曰く、過ちて改めざる、是れを過ちと謂(い)う

子夏曰、小人之過也必文 【子帳】

 子夏曰わく、小人の過つや、必ず文(かざ)る

 

過ちを犯してしまったら、改めることをためらってはいけない。

過ちを犯していながら改めないのが、ほんとうの過ちである。

徳のない未熟な人間は、失敗すると必ず言い逃れしようとする。

 

一般ピープルのお手本であってほしい立場のセンセイ方。

知ってましたか? 読めますか?