私は高校卒業までの18年ほどを広島県で暮らしました。故郷にそれほど強い愛着を抱いている訳ではないですが、北海道弁と怪しい関西弁と広島弁のトリリンガルです。それはさておき、気象庁の提供する情報を見ると、大雨以外の特別警報が紫、警報が赤で表示される決まりではありませんか。ふむふむ、サンフレッチェとカープは警戒対象ということですね。
さて、先週末、四国を旅して参りました。松山の鯛めしもさることながら、高知でいただいたカツオはまさに南国の味覚でした。元気で生きていられるうちにもっと食べたい。
北海道の気候についてブツブツ言います
ふた月ばかり前のこと、来年度採用予定の小学校教科書が展示されていたので、見学させてもらいました。
5年生で日本の地理を学ぶようですが、北海道全体が寒冷な気候とされていたのが気になります。少なくとも函館では、月平均気温と各月の降水量の平年値(10年ごとに更新される30年平均値)で見る限り2010年時点で「温暖湿潤気候」。これは本州と同じ気候区分です。
※ ケッペンの気候区分は、本来、植生との対応で語られるべきものです。針葉樹が衰退するといった植生の変化をみていないので、気候の変化だと強く主張するつもりはありません。とはいえ、2000年時点の平年値ですでに温帯の「西岸海洋性気候」になっていて、もう一つ前の平年値で何とか「亜寒帯湿潤気候」に踏みとどまっていました(上のグラフと表で観察できます)から、30年ほどの間に着実な変化が起こっているのは間違いないようです。
海流の話がヘンなのでブツブツ言います
まあ、気候の話は微妙なので、そのへんは目をつぶっておきましょう。
海関係で気になって仕方なかったことの一つ目:
北海道が寒冷な気候になっている理由が「太平洋側に親潮(千島海流)、日本海側にリマン海流という寒流があるから」って、どういうこと? よくある模式図がこちら。
実は、北海道の日本海側には対馬暖流水が北上してきており、その大半はオホーツク海に流入します。これは観測されている事実なのですが、教科書はおろか学習塾の教材にも出てこないようです。いったいどうしたことでしょうか。そして、私は、リマン海流が明瞭な流れになっている図を、教科書参考書以外で見たことがありません。そもそも、矢印をつけるほど勢いよく流れるはずがないというべきではないのか。
下は気象庁提供の2023年10月29日の海流図です( 気象庁ホームから「ホーム > 各種データ・資料 > 表層水温・海流実況図」と進めば毎日の新しい図に出会えます)。模式図でリマン海流の矢印があるはずの海域、ずいぶんと寂しい表現ですね。
対馬暖流水の7割は津軽海峡から太平洋に抜けるとされています(これを津軽暖流と呼びます)。残った3割が北海道西岸を北上、その大半は宗谷海峡からオホーツク海に流出します(宗谷暖流といいます)。対馬暖流系の水が日本海を北上するうちに、津軽暖流と宗谷暖流として流出したあとの、ほんのわずかな部分が間宮海峡方面へと北上するのです。
さて、リマン海流の流量は、対馬暖流系の水が間宮海峡方面に北上する流量と均衡しなくてはなりません。アムール川から間宮海峡を通じて大量の河川水が流入してリマン海流の形成に寄与するのだとすれば、日本海北部の塩分が極端に低くなるはず。そんなことは現実には起こっていませんから、それは無視できる。問題は日本海だけで閉じていなくてはなりません。かくして、間宮海峡方面の海域について、流入量と流出量が等しいという簡単な話。リマン海流はほとんど流れていない、が正解です。
※ 私がここで主張したことを答案に書くと、×が付いて返ってくるでしょう。学校教育の現場における真実が観測事実と違っているのは残念なことですが、私は何にも責任をとれません。
気になって仕方なかったことの二つ目:
黒潮と親潮のぶつかるところが「潮目」でよい漁場になりますなんて、ずいぶん簡単に言ってくれるじゃないですか。
解説をよくよく読んでいると、① 暖流と寒流がぶつかるところには両方の海流の魚が集まる、② 潮目は、もともと栄養が豊富でプランクトンも豊かな寒流と、暖流がぶつかる場所で、豊富なプランクトンを寒流と暖流の両方の魚がえさにして繁殖する・・・
何だか説明が変に重複していませんか? それに、栄養もプランクトンも乏しい暖流で生活してきた魚は、飢えていたとでもいうのでしょうか?
昨日の心づもりよりもブツブツがとまらなくて、親潮と黒潮の違いまで到達できませんでした。リマン海流があるというなら、観測事実で示してほしいものです(ブツブツが止まりません)。申し訳ないですが、潮目の話も謎のまま、おやすみなさい。