alchemist_380 のひとりごと

元・水の分析屋さんがブツブツ言います

物質はなくならない

千秋庵さん、絵を拝借します!

「出てきた出てきた 山親爺~♪」のテレビCMが約26年ぶりに復活するそうです! CMソングは、札幌出身の蔦谷好位置さんがアレンジ、函館出身の YUKI さんが歌うんだって! 「故郷に錦を飾るとはこのこと。道産子の誇り、山親爺と一緒にスキーを滑ったようでうれしい」という YUKI さんのコメントも素敵です。新CM初日は18日、夕方16時台にSTVで放送されるとのこと。楽しみですね~

 

さて・・・

新聞によりますと・・・

朝日新聞社によるストーリー(3/12)から
福井県内の原発から出る使用済み核燃料について、関西電力の担当者が県議会の野党系会派への説明会で、中間貯蔵施設や青森県六ケ所村の再処理工場が稼働しなかった場合、「どこにも持って行けなくなる」などと発言していたことが分かった。使用済み核燃料の県外搬出を四半世紀にわたって求めてきた県の姿勢と逆行する形だ。

 

毎日新聞社によるストーリー(3/13)から
伊藤信太郎環境相は12日の閣議後の記者会見で、東京電力福島第1原発事故後に福島県内の除染で出た土などの廃棄物について、県外最終処分に向けた工程表を2024年度中に示す考えを示した。(中略)
環境省は最終処分する量を減らすため、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の土を公共事業などで再利用する方針を決めている。ただし、福島県外の3カ所で再利用の実証試験を計画したものの地元で反対の声が上がり、試験は進んでいない。

 

そもそも「最終処理」とは何のことなのか

使用済み核燃料も除染作業で出た土も、物質なのだから消えてなくなるわけはありません。県外で最終処分だといっても、誰かの目の前から見えなくなるだけ、別な場所に移されるだけです。わが町のゴミの処分を喜んで引き受けてくれる・・・そんな自治体あるわけないのに、県外に搬出しますから、っていう説明で原発を作って稼働させたし、中間貯蔵とかいう呼び名で当面の汚染土置き場を確保して時間稼ぎしてきたのです。

放射性物質は核種ごとに決まった割合で時間とともに減衰しますが、その半減期セシウム-137で約30年、プルトニウム-239だと約24000年です。半減期7回分の時間が経過してようやくもとの1%を下回る量(128分の1)になる・・・人生百年時代だとかいわれますが、私たちが生きている内に「フクシマ」の放射性物質がなくなることなど望むべくもありません。そう、時間稼ぎを許してはダメ。放射性物質はなくならない前提でこれからのことを考えないと。

放射線防護の三原則は、時間 time、遮へい shield、距離 distance と言われています。放射線にさらされる時間を短くする、線源との間に遮蔽物をおく、線源からできるだけ離れる、の三つです。なるほど、最終処理の場所は、大きな都市からは隔たっており、人口が多くなくて交通も盛んではない、と思います。でもね、これって原発の立地条件とほぼ同じじゃないでしょうか。

元・水の分析屋さんだけの考え方ではないはずですが、辺鄙なところに発電所を作って、電力はありがたく大都市で使わせてもらう。発生した放射性廃棄物は大都市から離れた辺鄙な土地で処分してもらう。リスクにしかならない部分は人口の少ない土地に引き受けさせて、電力使用のメリットだけ大都市にまわる。そういうふうにできている。「受益者負担」という話をよく聞かされたものですが、原子力発電に関してはリスクを背負う土地と利益(ベネフィット)に与る土地の差が際だっていると思いますがね。

 

これからを考えるために始まりを振り返る

通常運転で発生する廃棄物を、どのように処理するかの見通しもなく原子力発電所を何基も使い出そうとしたのは誰? ウランを使えばプルトニウムができることを知らなかったはずはない。福島第一事故発生時の政権党に責任をなすりつけようとする人がいるようですが、根っこはずっと前からしっかりと張っているはず。元・水の分析屋さんは、1956年に発足した科学技術庁の初代長官が誰だったか(i)、までついつい考えてしまいます。個人的には、原子力放射能がいろいろな観点から研究され、利用される時代を迎えようとしていたころ、国がその首根っこを押さえて、基本的に環境放射能の測定データさえ科技庁のお墨付きがないと公開できないようにしたと思っていますので。

(i) 元内務省官僚、講道館柔道十段、読売新聞社主。正力松太郎です。どこまで本当なのか知りませんが、自由民主党の総裁を目指したとか、渡邉恒雄中曽根康弘との連絡役だったとか、そういう話にも事欠かない人です。まあ、火のないところに煙は立たないといいます。

日本が将来にわたって核武装する気がないのであれば、プルトニウムをため込んだり作り続けたりする必要はありません。そこは明確にしていただきたいです。また、放射性廃棄物の処理場についても、確かな見通しはたっておりません。「アンダーコントロール」であったはずの事故で出た物質の処理さえ満足にできていないのですから、何をかいわんやです。さらに、海辺にある原子力発電所は、悪意ある攻撃をまったく想定していないみたいですが、仮想敵国なんかは存在する前提ですよね? こうして、原子力関係の政策はあらゆる面で、矛盾だらけ不安だらけという現状です。

しかし、一方で、すべての原子炉をすぐに廃止してしまえという話にも賛成できかねます。基礎科学に寄与する研究炉もありますし、医療、農業・工業分野で利用するための放射性物質を供給するために必要な原子炉もあります。それに、いまの状態でもアップアップしているのに、そこら中で廃炉だとなったら、簡単にパンクしてしまいます。利用価値が高くて使うべきものは大切に使い、使えるものは安全第一で正しく使い、安全性に不安が出てきたものから順次廃炉に向かう、というイメージでいきたいものです。

この先よい方向に進むには、いま、みんなが当事者意識をもってよく考え、できることから行動を始めるほかないのでは。