元・水の分析屋さんに面白いメールが届きました。
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Title: 税務署からのお知らせ【還付金の処理状況に関するお知らせ】
From: e-Tax(国税電子申告納税システム)<app-etax-net-account@urtcj.cn>
(万一に備えて大文字の@に付け替えています)
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発信者が「~.cn」ということは、中華人民共和国から届いたものらしい。わが国の税務署は、とうとう中国のどこかに業務委託でもしたらしい。中国の業者が面倒な事務手続きを安く請け負ってくれたらしい。
でもね、あなたに還付すべきお金があるなんて、税務署からわざわざ言ってくるはずないでしょう。たとえ多めに徴税しても税務署は困りません。払った側が気付かないのなら、そのままで問題なしです。だから、還付金がどうなっていようと個別に知らせてくれるはずなんかない。簡単な話だと思いますが、いかがでしょうか。
もう一つ。4/21 に流れてきたフランシスコ教皇「死去」のニュース。同日、NHKのドラマ「天下御免」で平賀源内を演じた山口崇さんも、猪木 vs アリ 戦の仕掛け人・新間寿さんも「死去」。はてさて、有名ではあっても一般人のお二人と、宗教界で最高の地位にあるローマ教皇。お亡くなりになったことを同じ言葉で表現していいのかな・・・
人の死を表現する言葉はいろいろです。逝去 · 死去などはよく聞きますが、貴人にはご身分に応じた表現があるのです。「天子の死は崩と曰ひ、諸侯は薨(こう)と曰ひ、大夫は卒と曰ひ、士は不禄と曰ひ、庶人は死と曰ふ」(礼記・曲礼下篇)(i)。「死」では庶人(一般ピープル)の扱いということになってしまいます。ちなみに、名誉教皇のベネディクト16世の場合は「ベネディクト16世名誉教皇台下の崩御」でした(外務省のページ https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/we/va/page1_001455.html を参照しました)。名誉教皇の尊称は「台下」ですが、ローマ教皇には「聖下」がピッタリのはず。ということで、やはり最上級の「崩御」とするべき所ではなかったか。特殊な表現の使い分けではありますが、高貴な方によりによって「死去」を選択するとはね・・・ もちろん、これは私の意見です。ホンマ、知らんけどね。
(i) わが国でも古くから、天皇・皇帝は「崩御」、皇太子や大臣なら「薨御(こうぎょ)」、親王や三位以上の貴族は「薨去(こうきょ)」、王・女王、四位・五位以上の位階にある人の死は「卒去(しゅっきょ)」といった使い分けがありました。も一度言います。「死去」は位階に縁がない人に使う言葉ですよ。
基本はやはり自然プロセスにあるのでは・・・
4/10 に投稿したところですが、工学的プロセスの DACCS や BECCS は、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage 回収・貯留 でしたね) と組み合わせてナンボなのに、その CCS の技術がまだ商業ベースに乗るような段階ではないらしい。やはり自然プロセスを最大限活用する方法を考えないわけにはいかないようです。

前にも見た図ですが、もう一度自然プロセスのところから。森林吸収、海洋生物、海洋吸収と自然風化の4項目になっています。これらを順に見ていきましょうか。
〇 森林吸収は、読んだとおり、森林を形成している陸上植物。これが CO2 を固定する(≒ 光合成によって植物の体の一部となる)ことを意味しているでしょう。
〇 海洋生物とは言っても CO2 を固定できるのでないと意味をなしません。沿岸域を含む海洋の生態系にある植物による CO2 固定を指すはずです。基本、海藻や海草を考えればよさそうですが、マングローブやオカヒジキもここに入るかも知れません。
〇 海洋吸収は、大気中の CO2 が海洋に溶け込む(溶解する)ことです。生物とは分けてあるので、ここはヘンリーの法則にしたがう物理的過程を考えるものだと思います。
〇 自然風化は、岩石(鉱物)が日射・空気・水・生物などの作用で細かく砕かれ、粒子の細かい土へと変わっていくことをいいます。物理的作用も化学的作用も含んだ概念のはず。
これらの自然プロセスを促進・強化すれば、CDR(Carbon Dioxide Removal 二酸化炭素除去)の進展が期待できる、と言いたいわけですね。
しかし、生物が関与する自然プロセスは一方通行のはずはなく、必ずと言っていいくらい循環(サイクル)になっています。個別に見ていきましょうか。
まず、森林吸収から。森林に吸収された CO2 は、樹木の成長に使われますが、育った木を伐採して薪にして燃やせば CO2 として大気中に再放出されてしまう。木造建築物になっても、寿命を迎えて廃材が燃やされたり、そのまま朽ち果てたりすれば、簡単に CO2 が放出されます。これを避けようとすれば、木を育ててもふつうに利用してはダメ、になるのです。たとえば、森林を成長し放題にしておいて、いつか地中深くに埋めるとかすれば、CDR になるわけですが、これでは今様の「石炭紀」ですね(笑)。
海洋生物も同様です。人間は(特に日本人がそうですが)海草を採取して食用にします。すると、消化・吸収、呼吸、排泄・・・を通じて、体に取り入れたカーボンは CO2 として大気中に再放出されます。海洋の植物プランクトンもまた然り。海水中の CO2 を使った光合成で成長しますが、寿命を迎えると死骸(もちろん有機物)となって、海水中の溶存酸素を消費して酸化分解します。そのとき、カーボンも海水中に再放出される。プランクトンが暮らす海洋表層は、嵐で海面がかき混ぜられたり、冬季に海面が冷やされて対流が生じて鉛直混合したりで、水がぐるぐる循環します(下層との水の交換は限られた海域でしか生じないとしたもの)。カーボンも表層にとどまる限り水とともに循環するだけ。固定されたカーボンが何らかのプロセスで表層から(半)永久的に除去されるのでないと、CDR にはなりません。
海洋吸収も・・・繰り返しになりますが、同様です。海洋が人為起源の CO2 の大きな吸収源であることはよく知られていますが、CO2 の別名は「炭酸ガス」です。水に溶けると弱酸性。海には内緒で人類が放出し続けてきた CO2 の何割かは海洋が吸収した(海水に溶け込んだ)(ii) とされています。今のところ、表面海水は pH 8.1くらいの弱アルカリ性なのですが、大気中の CO2 が今後も増加し続けると、海洋がさらに多くの二酸化炭素を吸収して、pH は(7よりは大きい値だが)低下することになるでしょう(海洋酸性化)。やはり、海洋が海面から吸収したカーボンが何らかのプロセスで表層から(半)永久的に除去されるのでないと、CDR にはなりません。
(ii) 大気ー海洋間での CO2 交換速度を考えます。大気から海洋に入る方が速ければ、海水に「溶け込む」あるいは海洋が「吸収する」ことになります。逆に、海洋から大気へと出る方が速ければ、海洋が「放出する」とは言えますが、「溶け込む」の対義語を選ぶのに困ります。と言うわけで、「海水に溶け込んだ」よりも「海洋が吸収した」と表現されることが多いのだと思います。
最後に、自然風化を促進する方法。自然の風化作用を人工的に促進させる技術を「岩石風化促進法(ERW:Enhanced Rock Weathering)」といいます。天然の岩石(玄武岩など)を粉砕して、空気と接触する表面積を拡大することで、岩石に含まれるカルシウム Ca やマグネシウム Mg などを大気中の CO2 と反応させ、炭酸塩の形でカーボンを固定しようというのです。鉱物になれば、半永久的に(数千年の時間スケール)カーボンが大気から除去されます。しかも、天然鉱石を使用するので、リン、カリウム、マグネシウム、カルシウムといった、肥料となる成分も含まれています。すでに英国の企業 UNDO 社などは、農地に粉砕された岩石を散布して、土壌改良と肥料の使用抑制にも成果をあげているそうです。そうか、これはビジネスになってますか。
今回はここまで。