元・水の分析屋さんは、物質の動きや変化はとても気になるのですが、為替レートや株価の変動には、ホント興味がありません。金は天下の回りものとはいえ、どうせ私のところは避けて回りますし、世間では現金ではなく何ちゃらマネーでの取引・決済が当たり前になりつつある。それに、株価には有効数字 7桁の情報って、一体全体何の精密測定なのか・・・
そんなおめでたい私も「何これ?」ってなったのが「2026年までに約束手形や小切手を廃止する」という話題です。だいぶ前から決まっていたことみたいですが、何しろ興味がないので気付いていませんでした(汗)。とはいえ、簿記や珠算の検定試験で出題されるので、おおまかな知識はもっています。
約束手形(約手)は商取引における代金決済方法の一つ。将来のある期日を指定して、代金を支払うことを約束する有価証券です。代金を支払う側(振出人)が受け取る側(受取人)に約束手形を発行したところで代金決済が完了。約束の期日になると、振出人の口座から代金が引き落とされ、受取人が約束手形を金融期間に持ち込めば、現金の取り立てが完了します。
これに対し、小切手は、現金の代わりにやり取りされる有価証券で、振り出したら即日現金化が可能です。もちろん、受取人が支払銀行に小切手を「店頭呈示」するなどの手続きは必要です。
ある店が仕入れ代金を払うとき、小切手であれば振り出した当日に代金決済はすべて終了。一方、支払日に90日後を指定した約束手形を振り出せば、代金の決済はできましたが、取り立てが完了するのは90日後です。小切手は、現金を扱う事務的負担を省くためのもので、約束手形は、決済日を先延ばしにして資金調達の時間稼ぎのためのものと考えればよい。約束ですよ、約束。
なお、約束手形も小切手も、取引銀行に「当座預金」の口座をもってないと使えません。当座預金は、小切手や約束手形の入金や引き落とし業務を金融機関に代行してもらうための専用預金口座ですから、「当座勘定契約」を結ぶことができる「信用」を得られないと作ることができません。
もっとも、約束手形・小切手の利用廃止は義務ではなく、罰則もいまのところ設けられてないらしい。まずは「紙」の手形をなくしたい様子です。とはいえ、期限が迫ってくると、やると決めた部署にいる役人たちはどんな手を使ってでも・・・ってことになると思われます(i)。そうなるとどんな圧力をかけ始めるか分かりません(マイナンバーカードを持たせるために何が行われてきたかをお忘れなく)。ご利用されている皆様、早めに電子の決済に乗り換える算段をするのが無難かと思います。
(i) 公務員職場の人事評価制度。職員が設定した(しばしば「設定させられた」)業務目標について、評価期間ごとに達成度などの評価が行われます。如何にして不首尾・不手際を取り繕うかで悩む職員が多く現れる時期です。もちろん、近くにいる他人のせいにするのもアリです(笑)。
そして、手形にせよ小切手にせよ、売掛金や債権は早めに回収しましょう。資金回収が追いつかなくて自らが不渡りを出すと、雇われている人までが生活不安に直面することになります。経営者の責任は重大なのです。
資金回収は大切ですが、\(・_\)それは(/_・)/おいといて、これまた非常に重要な二酸化炭素の回収について書きましょう。
二酸化炭素を除去する技術 CDR の必要性

3/31 に紹介した資源エネルギー庁のページ(2023/10/06)、上のような大きな文字のタイトルの下にはこのように書かれています:
カーボンニュートラルを達成する上で重要な役割を果たすのが「CDR」です。CDRとはCarbon Dioxide Removal の略で、二酸化炭素除去、つまり大気中のCO2を除去することを指します。
横柄な顔で面倒だと答える様子が目に見えるようですが、「CO2」ではなくて「CO2」と書いてほしいですね。お役所のエラい人たちは「それで分かるんだから、いいだろ?」って言うのですよね。学校の試験であれば、セシウム-137 を「137Cs」と書いたら、バツがつくか減点されるかです。光合成の反応式を「6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6O2 + 6H2O」と書こうものなら、中学から勉強し直してこい、と怒られます。世界共通の約束事にも無頓着なエラい人たちは、コネでも使って公務員になり、誰かの弱みを握って出世してきたのでしょうか。いい大人なんですから、未来を担う子供たちにも読まれることを意識して、ちゃんとしているところを見せてやって下さい。できるのならね!
も一度 \(・_\)それは(/_・)/おいといて、CO2 の排出量を減らす努力は当然必要ですが、まだまだ技術的に減らすことが困難な分野があります。たとえば、普通乗用車であれば EV も普及しつつあるわけですが、運輸業界の主力である大型トラック、航空機、船舶なんかは、この先もなかなか電気では動かせそうにない。セメント工業も火力発電も、CO2 を排出するものはいっぱいあります。そして、CO2 を排出しない技術が進化したとしても、なお避けられない排出源がある(残余排出、といいます)。で、「カーボンニュートラル達成のためには、この残余排出と同量のCO2を大気中から吸収・回収する必要がある」というのが資源エネルギー庁の言い分。
話が歪んできたのにお気づきでしょうか。CDR も含めた様々な技術革新を実現させて 2050年までにカーボンニュートラルを達成するはずだったのに、そうした明るい未来は実現できる前提で、「これ以上はムリ」の残余排出のところだけ CDR で何とかしましょう、みたいになっているのです。はいはい、役所の中では「大変よくできました」なんでしょ。
CDR の話だったはずが主役は NETs

と、まあ、歪んではいるのですが、CO2 を減らそうという試みなのでしょうから、話を聞こうじゃないですか。資源エネルギー庁の言い分の続きにこうあります:
CDR を可能にする技術を、「ネガティブエミッション技術(NETs)」と呼びます。「エミッション」とは排出のことで、よく耳にする「ゼロエミッション」が排出をゼロにするのに対し、「ネガティブエミッション」は排出をマイナスにする、つまり大気中のCO2を除去する技術を指しています。
ていねいな説明で笑ってしまいそうですが、CDRは Carbon Dioxide Removal の略だと書いてあるのに、それを可能にする NETs が何を略したものかは・・・書いてないのです。まあ、Negative Emission Technologies だろうとは想像しますが、「それで分かるんだから、いいだろ?」ということでしょうか。
NETs には「自然プロセスを人為的に加速させる手法」と「工学的プロセス」とがあります。前者の中に「人工光合成」とかが入れば見通しは大いに明るくなるはずですが、どうもそうはいかないらしい。地道に植林するとか、岩石の風化を早めて炭酸塩として固定させるとか。あるいは海洋による CO2 吸収を増やそうとか。
後者の「工学的プロセス」はまさに「ちからわざ」です。大気中の CO2 を集めて貯留しようという DACCS (DAC; Direct Air Capture と CCS; Carbon (dioxide) Capture and Storage をくっつけた)や BECCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storage らしい)を持ち出していますが、大気中に出てしまったものや発生したばかりのものを集める/回収するというのですから、それに必要なエネルギーはどうするの?が常につきまといそうです。
売掛金、債権の回収は必須。二酸化炭素も排出が続く前提なので回収は必須。といったところで、この話はまだ続きます。
最後に。約束手形は有価証券ではありますが、小切手と違って支払期日になるまでは現金にはできません。受取人さんとしてはそこが困るのですが(ii)、えぇい、ままよ、で、手形の裏面に署名・押印して、別の取引先との代金決済に使用することがあります。これは「裏書譲渡」と呼ばれるのですが、関係者相互の信用だけが頼り。後ろめたいものを感じます。あるいは、手形の額面よりも減ってしまうのは覚悟で、銀行に売ってしまうこともできます(手形の売却/割引といいます)。その場合、手形振出人の信用や決済日までの期間(日数)に応じた割引率に基づく割引料を、手形の額面金額から差引いた額が現金化されます。
(ii) 元・水の分析屋さんの若かりし頃の経験。仕事上お付き合いのあった業者さんがぼやくのです。「〇〇社さんに納品したんですけど、180日の約手切られちゃったんですよぉ~」「え? 60日90日は当たり前に聞くけど、180日?」「ちょっと苦しいですわぁ・・・」(そりゃそうだ) 180日の約束手形を振り出せる、その会社の信用力は強いのか弱いのか。ちと状況をはかりかねたものです。