あのおっちゃんが、またまたネタを提供してくれました。
【ワシントン 5日 ロイター】トランプ米大統領は5日、自身がローマ教皇に扮した画像について、制作には一切関与しておらず、冗談だと一笑に付した。
トランプ氏は大統領執務室で記者団に対し、画像を前日の晩に見たと説明。メラニア夫人からは格好いいと言われたと語った。
トランプ大統領は2日、人工知能(AI)が生成した、ローマ教皇に扮した画像を自身のSNSアカウントに投稿。カトリック教徒などから苦言や批判の声が上がっていた。
記者 「ホワイトハウスのアカウントの重要性を損ねるのではないですか?」
トランプ大統領 「誰かが面白がってやったのだろう。問題ない」
どこの誰だか知らない月光仮面のではなく、大統領自身のSNSアカウントに投稿されたものなのに、問題ないらしいです。マンハッタンの一角を、大統領閣下がパンイチあるいはマッパで闊歩する動画とかが出てきても、面白がってやったのなら問題ないわけですね。ついでに、メラニアって人も、あの画像を格好いいと思うとは、センスも悪いし、品性のかけらもない。オゲレツなファースト・レディですね。おっちゃん閣下によくお似合いです。
あ、ここらへんは「AI が面白がって生成した文章なので問題ない」ということで、冗談だと一笑に付していただけますよう、ヨロシクお願いいたします(笑)。
「海洋生物」・・・ブルーカーボン管理と海洋肥沃化
さて、忘れないうちに「二酸化炭素回収」の話に戻りましょう。
まずは、海洋 CDR(Carbon Dioxide Removal; 二酸化炭素除去)について。

海洋 CDR は、海洋における自然のプロセスを加速・強化することで成立します。元・水の分析屋さんの理解では、自然プロセスのうち「海洋生物」は生物の働きそのものを指していますが、「海洋吸収」の方は大気-海洋間の物理的・化学的過程を指すはずですが、生物の作用と無関係ではいられないと思います。といっても分からないと思いますので、それぞれの説明にうつりますね。
「海洋生物」のところには、海洋肥沃化、ブルーカーボン管理、そして、その他のアプローチがあります。海洋肥沃化は後回しにして・・・
ブルーカーボンとは、沿岸・海洋生態系が光合成により CO2 を取り込んで、その後海底や深海に蓄積される炭素のことをいいます。具体的には、海草(うみくさ、と読んでほしい)、海藻(うみも、と読んでほしい)(i)、塩性湿地・干潟、マングローブ林などがあげられます。ブルーカーボン「管理」というのは、ブルーカーボンを維持・再生すること、プラス、沿岸における他の生物過程によって炭素を隔離することをいいます。後者はまだ検討中・・・きっといつまでも検討するだけでしょう。
(i) ふつうに読んでしまうと、海草も海藻も「かいそう」になって区別できないのでこのように読み分けます。海の中で花を咲かせて種子で増殖するのが「海草」で、胞子を飛ばして繁殖するのが「海藻」です。
その他のアプローチは、「人工湧昇」「作物残渣または丸太など陸上バイオマス投棄」「大型海藻養殖などの海洋バイオマスCDRオプション」「海水からの直接 CO2 抽出(貯蔵あり)」など、ジッパヒトカラゲにされています。
中でも、人工湧昇のアイディアは、海底に設置した構造物によって、栄養塩(窒素・リン酸その他)が豊富な深層(といっても高々数百メートル)の海水を海面に湧き上がらせるというもので、色々な海域で実験が行われていたようです。魚礁としても活用できるのがうれしいのだと思います。
また、1950年代に海洋学者ストンメル Stommel らが提唱した「永久塩泉 Perpetual Salt Fountain」の実証実験とも言える「ラピュタ計画」が、20年ほど前に進められていたはずですが、あれはどうなったのでしょう。笹川平和財団がサポートしていた「海洋砂漠の肥沃化」のプロジェクトです(https://www.spf.org/opri/newsletter/99_2.html)。概念図を下に示します:

栄養分を深層から持ってこようというのですから、ある意味、これも海洋肥沃化ととらえることができそうです。というのも、海洋肥沃化は、海洋に生物活動に必要な養分を散布したり、CO2 をよく吸収する種類の生物等を利用したりして、海洋の生物圏に CO2 を吸収・固定させようとするものだから。結果的に、海洋の CO2 吸収量増加につながります。
2024/02/08 の「私たちの食卓にアムール川の恵み」(https://alchemist-380.hatenablog.com/entry/2024/02/08/155754)を参照していただけるとよいのですが、北太平洋の亜寒帯海域には、高栄養塩低クロロフィル(High Nutrients Low Chlorophyll; HNLC)となっている領域があります。

この海域では、鉄が不足しているために、せっかくの豊かな栄養塩をプランクトンが消費しつくすことができなくなっています。栄養塩類だけではなく、鉄があってこそ植物プランクトンや海藻類が豊かな海になるのです。そこで、そういった海域に人為的に鉄を散布しようという考えがあります(ありました)。「北太平洋亜寒帯域鉄散布実験 SEEDS: Subarctic Pacific Iron Experiment for Ecosystem Dynamics Study」がそれです。
しかしながら、海洋肥沃化には海洋汚染を助長するイメージがつきまといます。実際、元・水の分析屋さんの記憶に残っている時代には、様々な汚物が海洋投棄されるのが当たり前でした。水揚げされた魚介類を処理する作業場から出る廃棄物がそのまま海に捨てられる状況もよく見かけたものです。とはいえ、さすがに今はそのようなことはないはず。「ロンドンダンピング条約」やそれに対応する国内法(「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海防法)」と「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」)によって、陸上で発生した廃棄物の海洋投棄が厳しく規制されるようになったからです。
しかし、上で見た「陸上バイオマス投棄」などと言う言葉が、経産省主催の検討会で平然と登場する・・・鉄の散布だって、環境影響を抑えつつクズ鉄を捨てたいが、どのくらいまでいけるか(i)・・・という陰の視点があるのではないか。そうではないことを願いますが、後ろめたさを感じてしまうのです。
(i) 今は昔、科学技術庁が主導する「黒潮開発利用調査研究」というプロジェクトの中に「黒潮の浄化能力」というテーマが設けられていました。元・水の分析屋さんもそこに寄与するべく仕事していましたが、「浄化能力」という名付けには「どこまで汚して大丈夫か」みたいな、何かしらの違和感があるのでした。
「海洋吸収」・・・海洋アルカリ度の向上
大気中の CO2 を海洋が吸収できるのは、海面付近の海水の pH が 8.1 くらいの弱アルカリ性になっているせいです。 元・水の分析屋さんが海洋観測デビューしたころは、海域や季節にもよるのですが、海面で pH 8.3~8.4 を測定していた記憶があります(間違っていたらゴメンナサイですが)。CO2 は「炭酸ガス」、水に溶ければ酸性になる物質ですから、 pH 7 を下回る「酸性」の水に溶けることを期待するのはムリとしたものです。そこで、海水がアルカリ性に偏るようにして、CO2 が吸収できるようにするという考え方が生まれます。具体的には、石灰石(炭酸カルシウム CaCO3 が主成分)やかんらん石(Mg2SiO4 苦土かんらん石 と Fe2SiO4 鉄かんらん石でできている)を粉砕して海に大量投入する、といった方法になると思います。うまくいけば、海水のアルカリ度が適度に保たれて、溶け込んだ CO2 は「重炭酸イオン HCO3-」「炭酸イオン CO32-」として海水中に存在できることになるのですが、はて。
海洋の CO2 吸収能力を全球的に向上させるには、大量の岩石を掘り出して、粉砕して、船舶に積んで、海洋に散布する必要があります。岩石の採掘可能量から単純に計算すると、年間数百億トンの CO2 を除去できると言いますが、モデルによる推算で、粉砕・輸送のことを考慮すると年間数十億トンになると言われているようです。
「海洋生物」「海洋吸収」のいずれについても、プロセスを加速するために自然界に人間が手を入れてしまうことには違いがない。大気中の CO2 濃度は、産業革命以前の 270 ppm から現在の 400 ppm まで増加していますが、0.27% から 0.40% に増えた、だけなのです。もちろん、原因は CO2 だけではありませんが、そうした僅かなバランスを変えただけで、地球温暖化がここまで進行しているのです。長年にわたって排出してきた分の帳尻を合わせようとして、さらに自然環境に手を加えるのか、と思ってしまいます。鉄を散布するのも、岩石をばらまくのも、二酸化炭素を増やし続けた人間のすることですから。
重い話で申し訳ない。今日はここまでにしましょう。