ひらがなを並べ替えて、ことわざ、慣用句にしましょう。アナグラムですね!
○ まいうさがうお
○ くといとらうだしも
一つ目は「まいう~」がどうしたとか言いつつも、「さいおうがうま」→「塞翁が馬」って、それほど時間をとらずにできたのですが、二つ目に大苦戦。
夫婦二人で苦しんだ結果、「らくだ と うし と いも」→「ラクダと牛と芋」に到達しました。こんなことわざ、あるのかい? ・・・ なんだよ~ 「とうだいもとくらし」→「灯台もと暗し」じゃないですか。
いえいえ、こういうのって、楽しむだけで脳ミソが活性化するらしいですからね。
(2) 除染土の総量とその放射能がもたらす影響
前回は・・・ ニュースではあまり見たり聞いたりしない「吸収線量」。その単位「グレイ Gy」は、物質 1 kg あたり 1J のエネルギーが吸収されるのが 1 Gy と定義されています。生体(特に人体)への影響を評価するための「シーベルト Sv」を計算する元になります。前回は、ここで、「放射線の種類ごとに定められた放射線荷重係数を乗じて求められるのが線量当量(等価線量と実効線量があります)」と書いて放り投げたのでした。
今回はその続きなんですが、ムツカシイのですよ、これが。ここでは α線、β線、γ線、X線、中性子線・・・ について、高校生の物理で習った記憶が多少なりとも残っているレベルを前提にして話を進めます。前回と説明が重複する部分もありますが、悪しからずご了承ください。
これら、α線、β線、γ線、X線、中性子線・・・ は、名前が違うだけあって、その性質も、持っているエネルギーも違います。毎秒 1回放射性壊変が起こるのが 1 Bq の放射能ですが、この「ベクレル」という単位は、出てくる放射線の種類についてもエネルギーについても、何も語っていません。放射性壊変が起こる秒当たりの回数、それだけを表現しています。
そして、放射線のエネルギーが物質に吸収されるところに着目したのが吸収線量「グレイ」です。物質 1 kg あたり 1J を吸収すれば 1 Gy と定義されます。これは、いかにも物理量、という姿ですね。α線は、空中で遠くまで飛ぶことはない。β線も、アルミ板で遮蔽できる程度。しかし、γ線は電磁波なので、遠くまで飛ぶし、透過力も強い。したがって、職業として放射線源に近づくことがあるような人を除けば、とりあえず γ線の影響だけを考えておけばよいわけです。
ところで、放射線の生体影響を定量的に扱うには、「物質」ではなく「生体」が吸収したエネルギーを指標にするのが自然な発想というものです。Gy 表示で同じ値のエネルギーを吸収するにしても、どんな放射線を、どの部位に受けたかによって、その生体影響は違ってくるからです。

前回登場の図、下半分の「等価線量」と「実効線量」をちょっとだけ詳しく。
「等価線量」を求める式に登場しています。同じ吸収線量でも、放射線の種類とエネルギーによって生体への影響の大きさが異なるので、これを補正するために吸収線量に乗じる係数です。計算した「等価線量」によって、放射線が命中した各組織・臓器への影響(リスク)を個別に評価します。この係数は、β線、γ線、X線を基準とした生体影響の評価になっています。

α線の水中での飛程は 40㎛ ほど。空中でも紙1枚あれば止まってしまいます。生体の外にあれば影響はほとんどないはずですが、逆に、体内で細胞に命中すると、そのダメージは非常に大きい。そこで20という係数になっています。
中性子については、低エネルギーであれば素直に吸収されやすいけれども、高エネルギーの場合、当たった物質を構成する原子核から陽子や中性子を叩き出してしまうこともあります(ちなみに、叩き出されたのが陽子の場合、その係数は 2)。当然、生体に与えるダメージもエネルギーによって程度が異なるのです。
○「どの部位に」のところを表現する「組織荷重係数」
各組織・臓器の「等価線量」に「組織荷重係数」を乗じて、それを合計したものが「実効線量」です。図中に Σ 記号がありますね。

余計なことですが、ICRP(i) の2007年勧告による値を 1990年勧告と比較してみます。生殖腺の係数が小さくなった一方、乳房の方は大きくなりました。脳へのダメージも少しだけ評価されました。放射線障害でオツムがパーになるリスクは、わずかだけどある、ってことかもしれません(今思いついたデタラメ見解です、信じちゃダメ www)。
(i) ICRP (International Commission on Radiological Protection) 「放射線防護に関する国際委員会」。放射線防護に関わる日本の法規も、ICRP の勧告をもとに基準を定めています。組織荷重係数の表はもちろん、放射線荷重係数の表も ICRP 勧告を参照しております。
\(・_\)それは(/_・)/おいといて、組織荷重係数の総和は 1。ここがミソで、各組織・臓器への影響をすべて積算すれば、全身へのリスク評価ができる仕組みになっているのです(ii)。つまり、放射線を全身に一様に浴びたと仮定できる状況であれば、実効線量は等価線量の総和に等しい。これで話が簡単になります。
(ii) 逆に、全身で一様に被ばくしたとき、そのリスクが各組織・臓器に割り振られる比率を係数で示している、と考えてもヨイわけです。
くどいようですが、この図、一部分だけもう一度ご覧ください:

放射性物質からは β線と γ線が出てきており、γ線だけが人体(物質)に届いています。そうです。放射線源からある程度離れていたなら、α線はもちろんのこと、β線だってあまり届かない。とりあえず γ線だけ気にしていれば、たぶん OK。そして、空中で観測できる γ線は全身で一様に浴びることになるいう仮定も、極めて自然なことです。
そこでこの前のニュースを思いだしてください。「除染土」は放射性のセシウムを多く捕捉しているはずでした。放射性セシウムのうち、137Cs は半減期約30年。環境に放出されて14年しか経ってないので、それほど減ってはいません。134Cs は半減期が2年くらいなので、7半減期を経ており、(1/2)7 ~ 1/128 くらいまで減っています。2桁違うのですから、あまり気にしないでよさそう(この先も137Cs に注目していれば、大間違いを犯すことはないと思います)。
137Cs は β壊変して512 keV のβ線を出し、さらに 662 keV の γ線を出してバリウム-137 137Ba になります。官邸の庭に運び込まれた 2m3 の除染土はふつうの土で覆われましたから、β線はほぼ遮蔽されて、γ線だけが透過しているのでしょう。その空間線量率は 0.11 μSv/h ・・・とニュースには書かれていましたね。理屈が一段階省略されています。本来、空中 γ線の測定値は グレイ Gy の単位になりますが、全身に一様に被ばくしたときの生体影響を考えるため、組織荷重係数の総和 1をかけて シーベルト Sv に直したのです。その値が環境省の示す基準値 0.23 μSv/h(iii) を下回っていたというわけです。
(iii) 環境省のwebページ(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/portal/qa/a_45.html)にこの基準値の算定根拠が書かれていますが、説明が何だかあやふやなので、元・水の分析屋さんがヒマに飽かせて計算してみようと思います。次回にご期待ください。
この基準値は、安全側に軸足を置いた考え方で設定されています。それを下回っているのですから、100%安全だとは言えないまでも、健康に影響を及ぼすようなレベルとは考えられません。だから、安心してください・・・ 官邸の庭に「埋め立てられた」除染土のニュースは、安心情報として流されたのでしょう。
それでも「汚染土をばら撒くな」という声が聞こえそうですが、「ばら撒く」のではありません。除染土を「(公共事業で)再生利用する」のです。また、除染土をそのまま使うのではなく、飛散したり流出したりしないように、覆土を施すことになっています。元・水の分析屋さんが前回書いたとおり、「盛り土などで再生利用」とは、「表面を覆って埋め立てる」を体よく言い換えただけです。ですが、ちゃんと埋め立てれば被ばく量は十分に軽減されるので、健康影響を心配するほどのことはない、と、データを示しながら主張しているのです。
除染土が自分の住む地域に持ち込まれるとしたら不安になる・・・その気持ちは理解できなくもないですが、「リスクは福島県だけで負ってくれ」という話に結びつくようでは困ります。電力というベネフィットを享受した地域は、リスクも少しずつ分担して然るべきではないかと思うのですが。