日本保守党代表の百田尚樹氏、米国による原爆投下について「大いなる誤りであったことだけは認めてほしい」と、X(旧ツイッター)で訴えたようですね。慰霊の碑文に対する自身の理解が足らなかったことを自覚できないのか、あるいは、話をそらせてそのことを隠蔽しようとしているのか。大勢の前で言葉として発することもなく、X への短文投稿ですませるのですか。こういうのに簡単に賛同する人たちも多いようですが、ホント、よ~っく考えて欲しい。
いわゆる太平洋戦争は、日本の真珠湾攻撃で始まったとされていますが、ほんの少しだけ先立って、帝国陸軍がマレー半島方面へと侵攻を開始しています。アメリカに対しての宣戦布告が間に合わなかったことは、しばしば話題になりますが、マレー半島方面への攻撃はそもそも宣戦布告の予定すらなかったということです。
百田氏は、これについても日本は悪くないと言えますか? 相手の立場で考えてほしい。不意を突かれたマレーにいた人たちも、「リメンバー・パールハーバー」を合い言葉にしている米国の人たちも、「お前ら、とてつもなく卑怯なやり方だったことくらい認めろ」と考えているはずですよ。
負けたら自分(たち)の命がない、と恐れなくてはならない戦争。手段を選ばないのはある意味当たり前です。それぞれ異なる立場から相手の非を主張すると、最終的に罵り合いになるのは必定です。(そこに国粋主義者が登場したら救いようがなくなります)。原爆慰霊碑の「過ちは繰り返しませぬから」に主語がないのは、慰霊のためにここを訪れる人なら誰でも、自分自身を主語にして考え、核兵器のことはもちろん、そもそも戦争を起こさない、繰り返さない、そのように祈るためです。 原爆だけのことを言っているのではない。そうでないと、慰霊にならないかもしれないでしょ? それとも、端から慰霊の意識がないのか。だったら来るな!このボケが!
ついでですが、核武装するのが最も安上がりだと公言した人が国会議員に選ばれてしまいました。ヒロシマ・ナガサキの心をまったく理解しないことは明らか。フクシマのことだって、何とも思ってないでしょう。投票した人も同類なんでしょうか。何でもかんでも現状追認ですか? あまりに情けない。反語的表現ですが、きれいごとの一つも言えない人が良識人であるはずがない。って、元・水の分析屋さんは思っています。
あんたらのような考え方をしていたら、いつまでも罵り合うばかりで先には進めない。核兵器廃絶の理想に近づけなくなるから、しゃしゃり出ないでくれませんかね。
さて、その話はさておきまして、地球温暖化の話題の続きです。「元・水の分析屋さん、最大限寄り添ってみた」の始まり始まり~
元・水の分析屋さん、最大限寄り添ってみた
前回示した海面水温平年偏差図を再掲します。左側が2010年8月下旬、右側が今年(2025年)7月下旬の図です。

平年値の違いを考慮すると、今年の 7月下旬の海面水温は、15年前の 8月下旬とほぼ同じ、なのでした。平年の水温上昇に比べてほぼ一月前倒しになっており、しかも、図に示す北海道周辺と本州東方の全海域でそのような高温になっているのです。
というわけで、2025年夏季の海面水温は、7月下旬時点で「非常に高い」状態まで上昇しています。これはなかなかのことです。おおごとじゃ、なのです。
一方、2010年8月下旬の海面水温は、平年よりも「かなり高い」状態です。気温も函館で30℃を超える日が何日もあるくらいには高かった。新聞記者さんが注目して「地球温暖化じゃあないんですか?」と考えたたのも無理はないのですが、そう訊かれたからと言って簡単に首を縦に振るわけにはいかない。なぜなら・・・

統計的な考え方からすれば、今生じている a という値は・・・
① 従来の平年値を作った母集団(平均値 m)に属するけれど、発生頻度は小さいはずの「ハズレ値」なのか、
② 地球温暖化が進行しつつあるために、従来とは違う平均値 m'(仮に『温暖化進行中の平年値』と呼びましょう)となった別な母集団に属する「よく起こる値」なのか、
この区別ができないのですよ(i)。だから、元・水の分析屋さんは「これが地球温暖化の結果だとは言い切れません」と説明したのですが、統計学の考え方を理解していないとそのココロは分からない・・・ さあ、困りました。
(i) 一応、平年値を考えてよいことにしたので、上に正規分布のような図を描いてみました。
そこで元・水の分析屋さん、低い声で「これが地球温暖化だとは言い切ることはできませんが、私たちは今、地球温暖化が進んでいる一側面を見ているのかも知れない、とは言えますね」と、つぶやくように言いました。記者さんの立場(考え)に精一杯寄り添ったつもりです。
そもそも「地球温暖化」とは
結果発表です。「地球温暖化の一側面、ですかぁ・・・」「う~ん、それじゃあ記事にできない」 元・水の分析屋さんの努力は水泡に帰したのでした。仕方ないですね。こちらからは、責任を持って言える範囲のことを話したのですから、記者さんの責任で書ける範囲では記事にならないというご判断だったのでしょう。
後になってから気付いたのですが、そもそも「地球温暖化とはどういう現象なのか」という説明が少なすぎたかも知れません。ここで改めて「地球温暖化」の定義みたいなのを紹介してみましょう。まずは、気象台の職員の勉強会向けに作られた資料から。
人為的要因による温室効果ガスの濃度上昇に伴う、地球全体の大気や海水温の長期的な上昇を「地球温暖化」といいます。
「人為的要因」とは、ぶっちゃけ「人間のせい」だということ(いや、ぶっちゃけてどうする)。「温室効果ガス」は、あの有名な二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなど(ii)。それらの濃度が上昇したせいで、温室効果が強すぎる状態になりました。その結果、「地球全体」で「長期的に」気温や海水温が上昇している、というのが「地球温暖化」です。
(ii) 大気中の温室効果ガスは、地表から放射された赤外線の一部を吸収して、大気の中に熱を蓄え、生物活動に適した気温を実現してきました。しかし、ここにあげた 4種類のガスなどは、人間の社会活動のせいで増える一方になっています。
なお、本当は温室効果が最も大きいガスは水蒸気なのですが、大気中にず~っと昔から存在しますし、人間がその量をコントロールできるものでもないので、ふつう、地球温暖化の議論には含めません。
こちらは温室効果の説明図:

温室効果ガス濃度の増大は、産業革命のころに始まりました(西暦で1750年、関係ないですが J. S. バッハが亡くなった年です)。石炭をはじめとする「化石燃料」の利用とともに、という方が正確かと思います。地球が数千万年~数億年にわたって地下に埋めていたものを、ほんの200年ちょっとのうちに掘り出してバンバン燃やしたのですから、これは変化が速すぎます。隠匿物資を掘り出すからには、あらぬ汚名を着せられないよう、少なくとも使用量などを管理するくらいはしなくてはいけませんでした(iii)。
(iii) 汚名は化石燃料の恩恵に与っているすべての人間にむけられる。某国大統領のように、掘って掘って掘りまくれ、なんてことは、やっちゃダメなのです。当たり前田のクラッカーです。
もう一度キーワードを整理しますと、「人間のせい」で「温室効果ガス」が増え続け、「地球全体」の気温や海水温が「長期的に」上昇している。でも、取材にやってきた記者さんの理解は、おそらくこうです:
2010年、暑い夏がやってきた。日本近海の海水温もかなり高い。これは地球温暖化なのかも。
どこかで回線がショートしていますね。「地球全体」なのかどうかは分からない。2010年のことだけで「長期的」かどうかは分からない。
「地球温暖化」と言える条件はそろっていませんから、一側面を見ているのかも知れない、は(私にしてみれば)ナイスな説明でしたが、効果は抜群だ、とはなりませんでした。まあ、新聞に名前が出ることもなくすみました。めでたしめでたし。
教訓です。寄り添うことがよいことだとは限りません。くどい文章になってしまったことをお詫びして、今日はここまで~