沖縄戦の認識で物議を醸した人も、国政の場には出ないことにしてたはずの人も、「核武装が最も安上がり」なんて暴言を吐いた人も・・・当選すればすべて水に流して・・・な~んて、元・水の分析屋さんにはできないもので。次の機会の判断材料としてストックしておきます。
そういえば、テレビのアナウンサーの発言に関して、ある大ベテランの俳優さんが「アナウンサーは、原稿読んで事実を伝えるの。自分の意見を述べるのであれば、キャスターかコメンテーターになれば良い」って、私見を述べられたとか。では、「俳優は映画や舞台やドラマで役を演じるもの。政治的発言を云々するような役割はない」みたいな意見も認められますかね。これでは堂々巡りにしかなりません(それって、楽しいですか?)。
節度が必要なのは当然のこととして、誰でもが正々堂々と意見を発信できる世の中であるべき、ということで。
自分にまで変なブーメランが返ってきたらいやなので、まあ、\(・_\)それは(/_・)/おいといて。前回はギンナンを取り上げましたが、今回は人体が発生源になる例、いわゆるオヤジ臭/加齢臭の話と参りましょう。
中高年は「イケオジ」を目指す はずが・・・
元・水の分析屋さん、もうすぐ66歳。Get your kiks on route sixty six. と、歌われたシブイ数値です。しかし、畏れているのが、オヤジ臭/加齢臭の「出し盛り」かも知れないこと。今は昔、通勤電車の中で「オッサン、におってるな~」などと他人様のことを気にしていたものですが、いつの間にやら自分がにおいを発する側。周囲に迷惑をかけない程度には注意したいものです、はい。

クサくなりたくないオッサンたちは「チョイ悪オヤジ」「ナイスミドル」「イケオジ」を目指す(i)。しかし、劉備、孫権、ではなかった、曹操・・・そうそううまくいくはずもなし。「ナイス」でも何でもない、ただのオッサンになるのがふつうです(董卓や張飛になるようでは、もっといけないかも知れません)。
(i) いずれの呼び方にも、見かけの格好良さだけではなくて、品のある立ち居振る舞い、年齢に相応な思慮深さや教養も要求されるようなところがありますね。非常に困難なものを目指してますね。
そこでです。ただのオッサンには、ちょっとした自覚がある。そう、自分でもそこはかとなく「におう」ことがあるのです。源氏物語なら「匂ふ兵部卿、薫る中将」が登場して「かぐわしい」ストーリーが展開しますが、そんなのは夢物語。オヤジのにおい、原因物質はなんでしょう?
ということで、オヤジ臭/加齢臭の主要因、「ノネナール」と「ジアセチル」の話をします。
ノネナール Nonenal
単にノネナールとよばれるのは「(Trans-) 2-nonenal」のようです。こんな構造。

カーボンの直鎖の中に二重結合があり、最後、右端に -CHO がある。ということは、不飽和のアルデヒドってことですね。1999年に資生堂リサーチセンターのメンバーが発見した物質(ii) で、これが年齢を重ねるごとに増加することから、そのニオイが「加齢臭」と名付けられたとのこと。はじめは「オジサン臭」「オヤジ臭」という、コンプライアンス的に問題がある呼ばれ方でしたが、実際には男女の差はあまりなく、加齢に伴って誰にでも生じることが分かっています。加齢臭、妥当です。
(ii) その後論文になっています: S. Haze, Y. Gozu, S. Nakamura, Y. Kohno, K. Sawano, H. Ohta and K. Yamazaki (2001). 2-Nonenal Newly Found in Human Body Odor Tends to Increase with Aging. Journal of Investigative Dermatology 116 (4): 520–524. doi:10.1046/j.0022-202x.2001.01287.x
ニオイの評価は「油臭く、青臭い」とか。実例としては、古い油、古いロウソク、古本、枯れ草、カメムシ・・・などのニオイだそうで。いや、カメムシは勘弁してほしい。
もちろん、人体から直接ノネナールが発生するのではありません。全身に存在する皮脂腺からは皮脂が分泌されます。年齢を重ねると皮脂の中に「パルミトレイン酸 Palmitoleic acid」や「バクセン酸 Vaccenic acid」などの不飽和脂肪酸が含まれるようになります。これらが皮膚の常在菌の作用で酸化分解してノネナールが生成されるといいます。つまり、ノネナールの原因物質は「過剰に分泌された皮脂」にまで遡ることができます。皮脂は水分を失わないようにして肌を守る役割を果たしてくれていますが、分泌過剰になると、ニオイの原因になるわけです。しょうがないよなぁ。
ジアセチル Diacetyl
オヤジ臭・・・失礼しました。コンプライアンス的に問題があるのでした。いわゆる加齢臭の原因物質、もう一つは「ジアセチル」です。こちらは、マンダムの研究員によって、2013年に加齢臭の原因物質の一つと特定されました(iii)。スポーツに勤しんでいる人が汗をかくのは当たり前ですが、研究員のひとりがこんなことに気付きます――大ベテランの方たちと体育館や更衣室で一緒になると、前出のノネナール特有の臭いを感じるが、ちょっと若い40代くらいの方たちと一緒になった場合は、そういうニオイをほとんど感じない。しかし、何か別の特徴的なニオイがあるようだ――そのような経験から「2-ノネナール」とは違うニオイ成分があるのではないか? という仮説に至って、研究が始まったのだそうです。さすが、みごとな研究者魂ですねぇ。
(iii) 2013年 ポスター発表。松井宏, 原武史, 志水弘典「2P-118 老化初期の男性に生じる体臭成分ジアセチルの発生機構とその制御(代謝工学,一般講演)」『日本生物工学会大会講演要旨集』第65巻、日本生物工学会、2013年、134頁。
で、ジアセチルはこんな構造:

見るからに危なそうだなと思ったら、やはり引火性があって、消防法の危険物第4類(第1石油類)になってました。オヤジ臭、もとい、加齢臭を振りまきつつ、火まで噴いてしまっては申し訳なさ過ぎ。火気には十分に注意しましょう(iv)。
(iv) 今は昔、髪の毛をムリヤリ撫で付けて「七三分け」にした男ありけり。カッコつけるためには、歩きたばこもほぼ必須でしたが、ライターの火がポマードに引火してしまった実例がございます。大切なことなので二度書きますが、あくまでも今は昔のことです。
こちらのニオイの評価は、バター、チーズ様の強いニオイ。「発酵乳製品が品質低下した時のニオイ」とも。微量であれば、乳酸発酵でできる乳製品には「不可欠な香り」ですが、アルコール発酵で作られる食品にとっては「異臭」だそうです(早い話がクサイのでしょう)。
で、興味の中心は、40代くらいの男性の頭と枕のニオイ。「ノネナール」とは違う「強い脂(アブラ)のようなニオイ」がするんだそうです。これがジアセチルのニオイ。やっぱりね~、耳の後ろが臭うのよ、って声が聞こえてきそうです。汗に含まれている乳酸が、皮膚の常在菌(表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌など)の作用によってジアセチルを生じることは分かっていますから、主として頭から耳の後ろの汗に原因があるのですね。
加齢臭を大発生させないためには
「悪臭防止法(昭和四十六年法律第九十一号)」という法律がありますが、その第一条に「この法律は、工場その他の事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭について必要な規制を行い・・・(以下略)」と書かれていますから、事業場において事業活動を行おうと出勤する男性社員の体臭なんかを対象にしてはいないはず。ということで、法による規制はないのですが、40過ぎたら自分の顔にもニオイにも責任を持たなくてはいけません(何でやねん!)。
ノネナールは皮脂に由来し、ジアセチルは汗に由来する。ここまで分かっているのですから、タコのこと、ではなくて、以下のことに注意したいと思います。
【体の中からの対策】
○ 脂質(特に動物性脂肪)の摂取を減らす
○ 抗酸化作用の高い食材を意識的に摂る
○ アルコール類、糖質の摂取量に注意
○ ストレスを上手に解消する 紫外線も敵です
○ タバコはやっぱりよくないのですよ~
【体の外側からの対策】
○ 有効成分を含むボディソープやシャンプーを使う
○ シャワーだけに頼らず、時には湯船につかりましょう
○ 首・耳の後ろ・胸元・お腹・背中などの汗をできるだけ拭く
○ 衣類、枕カバー、シーツなどについては、選択と洗濯、どちらも大事です
○ フラボノイドを含有する植物エキスにジアセチル発生の抑制効果があります
自分で書いておきながら、脂質を減らそうとかアルコールを控えようとか、それではストレスが増えますよね。ポリフェノールを意識的に、積極的に摂るところは悩まなくてもできそう。緑茶もトマトもよいらしい。 以上、がんばりましょうね。
あれ? マジメに終わるの? オチがないですね・・・ ボディソープやシャンプー、適切に使いましょう。汗とアブラが落ちますよ。 お後がよろしいようで・・・
それではまた (^o^)/~~~