【3/24 FNNプライムオンライン によるストーリー】
防衛省は24日、陸海空3つの自衛隊を一元的に指揮する常設組織「統合作戦司令部」を発足させた。
大規模災害や、中国・北朝鮮・ロシアなどによる日本周辺での軍事活動が活発化し、同時に起こる「複合事態」が常態化しているなか、統合作戦司令部は自衛隊の各部隊の統合運用を推進し即応力を高めるほか、平時から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現できる体制を構築するため、陸・海・空自・宇宙・サイバー部隊の一元的な指揮を行う。司令官は米軍との運用・作戦面での調整も担当する。
さて、日本国憲法第九条(i) ですが・・・・・・
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない。
(i) ちなみに、法務省 Ministry of Justice による憲法第九条の英訳 The Constitution of Japan, Article 9 には "land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained." とあります。つまり、英訳だと「その他の戦力」には「潜在能力」や「発展性」まで含まれるようです。でも、自衛権は否定されないから・・・日米安全保障条約によって米軍が日本国内に駐屯・駐留していることも、わが国の自衛権ないし主権に基く防衛措置に外ならない、ということで、憲法前文の平和主義に反するものではなく、また、憲法第9条第2項の禁止するところでもない・・・のだそうです(砂川事件の判決文をググれカス、じゃなかった、検索してご覧あれ)。
元・水の分析屋さんは、「国際紛争を解決する」必要があって、通常の外交手段をあきらめたとき(ii)「威嚇又は武力の行使」が発生するのだと思っています。だからこそ、何はさておき外交努力で解決しましょう。それが本筋ではないか。また、第2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とありますから、自衛隊は戦力ではないということになります。・・・でも、有事には戦えるのですよね。
(ii) クラウゼビッツは『戦争論』の中で「戦争とは、異なる手段を持って継続される政治に他ならない」と述べ、戦争を「政治目的を実現させるための手段」と定義しました。当然の帰結ですが、戦争の目的は「敵の完全な打倒」です。「政治は目的をきめ、戦争はこれを達成する」とあります。
\(・_\)それは(/_・)/おいといて、常設される「統合作戦司令部」。陸・海・空の自衛隊を一元的に指揮すると言いますが、それこそ某国が日本領土に侵攻してきたときに、米軍も参戦(きっと「協調」して「行動」と言い換えると思います:後で説明しますね)するとどうなるのか。米軍と我が国の自衛隊が別々に戦うはずはないです。戦い全体の指揮権のゆくえが気になりますね。たぶん、米軍には逆らえないのでしょ? たぶんね。
実は、3/19 に紹介した政府広報オンライン、「災害への備えを、日本の標準装備に。」だって、落ち着いて考えると、なかなかの危うさを孕んでいる言葉遣いです。しれっと「標準装備」と書いていますが、「装備 equipment」は、軍事関係の話題においては武器その他の装備品を指す言葉です。うまいこと潜り込ませたつもりでしょうか。
その流れで言うと、外交上のいろんな文書で、日米の「協調行動」と訳されているのも、たぶん「co-operation」。何のことはない、共同軍事作戦(行動)です。国民がそういう言葉に敏感に反応しないように、防災にかこつけて小出しにしているようにさえ見えます。
これまたちなみに、1992(平成4)年に成立した「PKO法案」、覚えてますか? PKO とは Peacekeeping Operations で、国際連合平和維持活動 です。なので、きちんと言うなら United Nations が頭にくっつきます。正式名称は「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」ですが、operations ですから、これは軍事行動・作戦だということになります。で、当時の宮沢内閣は「平和維持活動」を「国際平和協力」と言い換えることを決定。略称も「PKO協力法」→「国際平和協力法」となりました。今の外務省のwebページにも「国連平和維持活動(PKO:Peacekeeping Operations)」という見出しで堂々と出ていますので、「国際平和協力」と言い換えたところで、やってることの中身は想像できるとおりです。あっ、言い忘れるところでしたが、法案は自民、公明、民社によって成立しました。
最後にひとこと。米軍も動き出すような有事の際、「統合作戦司令部」の指揮権を握るのは自衛隊を統合する司令官なのか、それとも在日米軍などの指揮官なのか・・・考えてないはずはないので、少なくともそれくらいは国民にはっきりと示していただきたい。指揮権を何か別の言葉に言い換えることなんかで誤魔化すのはナシです。昭和の時代には、先行きどうなるか不透明なままに、「何だかいけそうな気がする」とか「まあ、いいか」みたいなノリで戦争/軍事行動を始めちゃう国であったことをお忘れなく(iii) 。
(iii) 「孫子曰、兵者國之大事。死生之地、存亡之道、不可不察也。」 兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。 これ、我が国でもよく知られている言葉ですが、かつての我が国は、大した考えもなく戦争を始め、仕舞いには神風が吹くことを期待して !?、ボロボロになるまで戦い続けたのです。