alchemist_380 のひとりごと

元・水の分析屋さんがブツブツ言います

線状降水帯の「半日前」予測情報・・・

11月は「11」を「いい」って読むもんだから、来る日も来る日も「いい○○の日」になってしまいます。で、完全に油断していましたが、昨日 11月19日 は、「いい一休さんの日」かどうか知りませんが、あの有名な「ゲティスバーグ演説」の日でした。

こんな言葉で始まります:

Fourscore and seven years ago our fathers brought forth on this continent a new nation, conceived in liberty, and dedicated to the proposition that all men are created equal.

Fourscore and seven years ago ・・・は  4×20+7 年前のこと、アメリカが独立した年のことです。 87年前、われわれの父祖は、自由の理念と万人は平等との信条に基づく一つの新しい国家をこの大陸につくり上げた。

そして、皆さんご存知の結びの言葉:

... that we here highly resolve that these dead shall not have died in vain;
that this nation, under God, shall have a new birth of freedom;
and that government of the people, by the people,
for the people, shall not perish from the earth. 

... その任務とは、あの死者たちの死(ゲティスバーグの戦いでの戦死者をさす)を無駄にはしないこと、
この国が、神のもとにおいて、自由の新たな誕生をつかみとること、
人民の、人民の手による、人民のための政府を、
この地上から消え去らせはしない、と深く決意することである。

 

元・水の分析屋さんにとってはまだ見ぬ土地のことですが、この感動的な演説が行われた国立墓地には、兵士をしのぶ慰霊塔が建っており、その碑には「団結すれば、持ちこたえる UNITED WE STAND」、「分裂すれば、失敗する DIVIDED WE FAIL」と刻み込まれているそうです。

彼の国も、我が国も、分裂することがありませんように。

 

 

気象庁 19日14時 発表の3か月予報(12月~2月)によると、今冬の北海道内は2021-22年の冬と同様、ラニーニャ現象の影響を強く受けると予想されます。このため、冬型の気圧配置が強まり、日本海側やオホーツク海側で例年よりも多雪になるとみられるとのことです。

北日本のところを切り取りです

ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海域で、平年よりも東風が強まるため、海面付近の暖水が吹き寄せられる形になるインドネシア近海で海面水温が高くなる一方、海面付近の暖水を運び去られた南米沖では冷水が湧昇して海面水温が低くなる現象です。太平洋赤道域の現象が日本付近に影響をおよぼす理由、「風が吹けば桶屋が儲かる」的なところはありますが、気象庁の解説資料でみていきましょう。

解説資料の図

向こう3か月の天候の見通し(3か月予報の解説)

○ 基本の場として、地球温暖化の影響等により、大気全体の温度が高い。
ラニーニャ現象時の特徴として、太平洋熱帯域の海面水温は、西部で高く、中・東部で低くなる。また、インド洋熱帯域の東部でも海面水温が高い。

○ このため、インドネシア付近を中心に積乱雲の発生が多い一方、日付変更線付近では積乱雲の発生は少ない。
○ これらの影響でシベリア高気圧が強化されて、上空の偏西風は中国付近で北に、日本付近でやや南に蛇行する見込み。シベリア高気圧は南東側への張り出しがやや強い時期があり、アリューシャン低気圧は西側で強いでしょう。
○ これらのことから、北日本では低気圧の影響を受けやすい時期がある見込み。

・・・こんなストーリーのようです。

注目していただきたいのは「上空の偏西風」です。太めの線が引かれておりますが、グレーの破線で示された平年の流路とは・・・違うと言えば違いますが、どうなんでしょうね。

「平年」というからには30年分の平均。偏西風の蛇行が大きい年も蛇行が少ない年も、ひっくるめて平均しているのでしょうね。そもそも「平年並」でずぅっと経過する年なんかありません。このようになる「傾向」とか「可能性」とか、そういったものを語っていることに注意が必要でしょう。なので、実際に予想されることは「シベリア高気圧 南東側への張り出しがやや強い時期がある」ですし、「アリューシャン低気圧 西側で強い」です。その二つが同時的に起こったとき、日本列島付近での気圧傾度が大きくなるから、「冬型の気圧配置が強まる時期がある」というのだと、元・水の分析屋さんは理解しています。

\(・_\)それは(/_・)/おいといて、アリューシャン低気圧。元・水の分析屋さんは中学生になる前から、NHK ラジオの「気象通報」で毎日天気図を描くお天気小僧でした。とても素直だった(かも知れない)少年時代には、冬の真最中には「アリューシャン(列島)の北緯nn度・東経eee度には、970mb(i) の発達した低気圧があり、ほとんど停滞しています」なんて表現をいやというほど聞いておりました。ところが最近は「千島列島中部の北緯nn度・東経eee度には、970mb の発達した低気圧があり・・・」のことが増えていると感じています。今冬だけの話ではなく、「低気圧の墓場」の場所が数十年のうちに西方へと移動して、北海道の近くにまで迫ってきているのではないか。これは個人的な感想ですが、現役の気象人の皆さん、どう思いますか?

(i) 'mb'(ミリバール)は、その昔気象の業界で使われていた気圧の単位。「ミリ」がついていますから、bar(バール)の 1000分の1。値は 'hPa' と同じです。SI 系が導入されて、圧力の単位が「Pa パスカル」になったのですが、1 bar = 100,000 Pa という関係から、昔の観測値もそのまま使えるように調整した結果こうなっています。

 

もうひとつ。TBS NEWS DIG から:

線状降水帯の“半日前”予測情報の今年の発表実績について、気象庁の森隆志長官は、当初の想定と比べて「的中率」が下がった一方、「見逃し率」は上がって期待される水準に達しなかったとして、今年の大雨の例を検証し、引き続き予測精度の向上に努める考えを示しました。(中略)

気象庁 森隆志 長官
「ひとことで言うと、やはり線状降水帯の予測は引き続き難しい。技術的に難しいというのをあらためて感じた」 (後略)

 

まあ、気象庁の「知識・解説」の中に「予報が難しい現象について(線状降水帯による大雨)」ってページがあり、「発生メカニズムに未解明な点も多く、今後も継続的な研究が必要不可欠です」とまで書いてあるのですから、まだムリ、というのも仕方ないのでしょう。

ただし、「周辺の大気の状況については、アメダスや気象台による地上の観測、ゾンデによる高層気象観測、衛星による観測などから得ることができますが、海上では陸上に比べて観測データが十分ではありません」と書かれているのには、首をかしげてしまいます。アメダスの配置間隔は平均 17km くらいです。海上でこのくらいの格子間隔でアメダスを配置するなどできるはずがない。陸上のデータも、衛星、気象レーダー等でうまいこと補間しているのではありませんか。

現状では原理的にできないことだと言っている一方で、何とかすれば可能だとも語るのであれば、不誠実の誹りを免れないと思いますが。

 

あ、今日はここまでで。