alchemist_380 のひとりごと

元・水の分析屋さんがブツブツ言います

「バーゼル問題」への別なアプローチ

NHK NEWS WEB から (2024/10/29  20:47)

東北電力は29日夜、宮城県にある女川原子力発電所2号機の原子炉を起動し、東日本大震災で停止して以来、13年半余りを経て再稼働させました。

事故を起こした東京電力福島第一原発と同じタイプ原発で、このタイプでは初めての再稼働となり、被災地の原発が再稼働したのも初めてです。(中略)

また、国内でこれまでに再稼働した12基の原発はすべて西日本に立地していて、東日本にある原発の再稼働は初めてです。(後略)

 

日本の原発は、軽水(重水ではない普通の水)が減速材と冷却材になっている軽水炉です。福島第一原発と同じ、というのは「沸騰水型(Boiling Wawer Reactor: BWR)」のことです。原子炉の中にある水が沸騰してできる水蒸気を、発電用のタービンに直接導きます。燃料棒とふれあっている水の蒸気で発電しますから、タービンも、タービンを回した後の水を炉内に戻す復水器も、すべての蒸気配管も、放射性物質との接触が避けられません。なので、そこがちゃんと閉鎖された系になっていることが最重要です。

もうひとつの「加圧水型(Pressurized Water Reactor: PWR)」は、原子炉を冷却するための「一次系」と、蒸気発生器で水蒸気を作ってタービンを回す「二次系」とに分かれています。この二次系の水は、放射性物質とふれあっていない、というのが「ウリ」の一つかと思います。

原子力白書2013 の図

また、原子炉内部の核反応をコントロールするための制御棒の入れ方も、沸騰水型は下から入れますが、加圧水型の炉だと上から入れます。加圧水型のもう一つの「ウリ」は、電源喪失になっても制御棒が重力で自動的に降りてくるところだそうです。

いずれにしましても、「放射能漏れはない」とか「安全性は確保されている」とかは、電気事業者や原発推進派の皆さんの言い分。どうやって言いくるめようとしたところで、核燃料を使う原子炉を熱源にしていて、放射性廃棄物を生み出してしまうところには、何の違いもありません。

ついでですが、原発が海辺に立地している理由。沸騰水型・加圧水型のどちらでも、タービンを回した後の蒸気を冷やして水に戻さなくてはなりません。海辺に作っておけば、ほぼ無尽蔵の海水を冷却用に用いることができる、という考えです(石炭火力であってもやはり「温排水」が発生しますけどね)。某国の特殊部隊がボートでやってきて破壊工作を・・・のようなことは、おそらく全然想定されていません。 まあ、ご説によると、とにかく安全なのだそうです。

 

さて、「バーゼル問題」の初等的な証明の続きから。

 

収束することは分かったので、収束先の値を求める

テイラー展開できたら、両辺を x で割ってみます。

sin x のテイラー展開から話を進めます

もちろん 0 では割れません。でも、この左辺、循環論法の話で出てきましたが、x → 0 の極限で 1 に収束するのでした(怪しい話になりつつある・・・)。

また、sin x は周期函数で、x = ±nπ (n = 1,2,3,......) のとき 0 になるから、形式的にですが(「因数定理」って習ったんじゃない?)、次のように「因数分解」できて、

テイラー展開は「和」の形だが、こちらは「積」の形

すごくややこしくなったではないかと、ご不満の向きもあろうかと存じますが、ここからが鮮やかなので、ちょっとだけガマンして。

x2 の項の係数に注目します。テイラー展開の式は -1/3! だと簡単に分かります。因数分解された式は、どのカッコにも x2 が登場していますから、ほかのカッコすべてから 1 を選んでかけることになります・・・ということで見比べると・・・

よくある手法、「係数比較」です

最後は、二つの係数は等しいで「ちゃんちゃん」。なんと、収束先は前もって紹介してあった π2/6。π が出てくる理由も sin x と関係してたので何となく分かりますね。

そして、ちょっとだけびっくりしたんじゃないかと思うのですが、どんなややこしい計算が続くかと思っていたら、アッと驚くタメゴロー(i) 、急転直下の解決でしたね。

(i) クレイジーキャッツハナ肇さん、渾身のギャグです。元・水の分析屋さんたちは、これに反応できる世代の最後方にいるのかなと思います。ドリフの全員集合の世代はもう少し後まで続いているでしょうね。ちなみに、「ちゃんちゃん」の方は、「チャカチャカチャン、チャカチャカチャン・・・ウーッ!」という続きまでやることになってたはずです。当たり前だのクラッカーです。


なお、証明の最後ですが、元・水の分析屋さんの高校生時代には Q.E.D.(ii) をふつうに使いました。今では「■」などを書くことも多いようです。「墓石記号」と呼ぶそうですから、どうでもよいことですが、墓じまいには気をつけましょう。

(ii) ご承知とは思いますが、ラテン語の 'Quod erat Demonstrandum' 「クゥォド・エラト・デーモンストランドゥム」からきております。これが示されるべき事であった、と言う意味だそうです。もっとも、元・水の分析屋さんたち「くえすちょん・イー具合に・できた」と解いておりました。アホなことをやるには複数名が必要であり、同類項は集めてくくるのが常道です。

 

バーゼル問題」・・・重積分を使う方法

もうひとつ、高校生レベルにプラスアルファかと思う重積分を使う方法を紹介します。

まず、バーゼル問題の式をいじくり回すところから始まります。

シグマ記号の添え字 k, m, n に意味はない

自然数の平方の逆数の総和、奇数番目の項と偶数番目の項に分けます。すると、偶数番目のところからは、定数をくくり出せて・・・あーら不思議、奇数番目の項の寄与が全体の 3/4 で、偶数番目の項は 1/4 しかパワーがなかったようです。奇数番目、すご~い。

\(・_\)それは(/_・)/おいといて、上の枠の最後の式から、

これを示せばよいことが分かりました。却ってムツカシイ話になってないか? いえいえ、誰が最初に思いついたのか知りませんが、この形であるからこそ、(2k+1)2 のところを積分からひねり出すことができるのです。

もちろん、先の先まで分かってのことですが、重積分Iを次のように定めます:

積分の中身に見覚えはありませんか? 分子が 1 で分母が 1-r2 の形と気づけたら一応大成功。これは、初項 1,公比 x2y2 =(xy)2 の等比級数の和です(0 < x, y < 1 に注意しましょう)。

それでは、積分の式を変形していきましょう。

作戦どおりですぅ

な、な、な~んと、重積分Iの値は、求めようとしているシグマの値と一致することが分かりました(作戦どおりです 笑)。

ここからは重積分を計算するための変数変換です。積分の範囲が x, y とも [0, 1] なのだから、三角函数の組み合わせでうまいことできるはず。まずは・・・

複雑に見えますが、sin 2乗、cos 2乗 を考えると、案外すっきりしています

この変換で積分領域はどうなるか、です。

うまいこと変換できたようです

以上、積分領域は次のように変換されました:

右図のピンクの領域を D と書きましょう

変換後の積分領域 D が決まれば、あとは「ヤコビアン J」さえあれば OK です。

これが狙いだったわけよ

ちょっと上で見たように、x = sin u/cos v, y = sin v/cos u でしたから、ヨイですね。これでめでたく重積分Iが計算できます。

最後は、三角形の積分領域の面積を計算するんだって

これで一丁上がり、Q.E.D. です。 やったやん。

 

前に「いくつかの証明」と書きましたが、留数定理を使う証明は、カッコいいけど大学級・・・なので、気が変わりました。このたびはここでやめようと思います。ゴメンナサイ。