元・水の分析屋さんは、高校卒業してからというもの、退職するまでずーっと公務員職場にいたのですが、平成の途中あたりから「公務員倫理」の話がやたらうるさくなったように感じております。
公務員倫理とは、かくあるべきと社会から期待されている公務員の言動、意識のこと。 国民・住民の信頼を確かなものにするためには「行うべきことを行い」「行ってはいけないことは行わない」必要がある・・・というのですが。これ、どういうことなのでしょうね。
元・水の分析屋さんが、部外から招かれてシンポジウムに出席した際、講師やパネリストの皆さんと食事会を兼ねた打ち合わせがありました。そこではありふれた幕の内弁当とペットボトルの飲み物が提供されたのですが、役所に帰ってきたら、総務課長に「謝礼は受け取っていませんよね」とか「何円くらいの弁当が出ましたか」とか、微に入り細を穿つ質問を浴びせられまして。何でしょう、元・水の分析屋さんの参加を決めるとき、交通費もいただきませんという条件で OK したのは、総務課長、あなたではなかったか。社会的通念上おかしなことは何もなさそうだから引き受けたのでしょうに。
こんなのに比べると、選挙を通じて公務員になった方々の倫理意識はゼロに等しい。党の支部に2000万円の資金を提供された八王子の某氏。「ありがた迷惑」と発言されたと聞きましたが、そうか、やっぱりありがたいんですよね。迷惑なのはタイミングだけのことでしょうからね。
アナウンサー出身の候補さんでしたか「お助けください」って(大笑)。テレビ業界で身につけた演技力を使ってまで助けてもらおうだなんて虫がよすぎます。あなたは、単に有名人であっただけでなく、選挙で公務員になったんですから、公務員試験で採用された私たちよりも遥かに高度な倫理観をもっていただけないと話になりません。
また、そういう人たちの集まりにすり寄って政権の一角に加わっている人たちも、恥を知りなさい、とか、この愚か者めが、と罵られるに値するはず・・・ああ、あしたは投票日ですね。
さて、10/11、ノーベル物理学賞と化学賞で AI 関係の業績が評価されたニュースを取り上げました。また書いちゃいますが、世はまさに大海賊時代・・・じゃなかった AI の時代です。でも、元・水の分析屋さんは、今のところ AI は「意味を知っている」のではないし、「意味がわかるはずもない」と(宗教的なことではなく)信じています。「皇帝の新しい心」のところで書いたとおり、何といっても AI は自分のことを知らないし、何かを感じて動いているのではないからです。

働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」
川添 愛 著 花松あゆみ 絵 朝日出版社 2017 1,700円 +税
第4章の「言葉と外の世界を結びつけられること」がなかなか面白い。イタチたちが手に入れた「フクロウの目」。色々な動物やものの名前をうまく答えられていたのに、たくさんの写真と言葉の組み合わせを与えて学習させると、思いもよらない言葉を出力するようになってしまいます。あわててさらに多くの「教材」をつぎ込んで学習させたところ、輪をかけて思いもよらない言葉が・・・。これはナイスなディープ・ラーニング?
多くの人間にとっては、おおむね「画像で与えられた外界の事物と言葉とを正しく関係づける」くらいはふつうにできています。しかし、これができないと、何かを入力されてもまともな答えは出てこないのです。自分の存在を意識していない(できない)ものに、外界の存在が認識できるはずがない。そこは気付いておきたいですね。
さて、今日は生意気な小学生に質問されたら困りそうな話からです。元・水の分析屋さんは昭和の広島県人ですから、チョコザイなガキンチョには「カバチよ!」とどやしつけておけばいいとは思うのですが、そうもいかないご時世ですから。
「1=0.999999999・・・」について
よせばいいのに、小学校でこんな話をすることがあるらしい:

この両辺に 3 をかければ
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「これ、何だか変じゃない?」って(i)。そんなこと言うな、なんですが、もっと悪いことに続きもあります。

ほーら、どこまでいっても「>」であって「=」にはなりませんよ、って。あ~あ。元・水の分析屋さんは、幸いにしてここでは躓かなかったのですが、それはそれは純真な?少年少女に「これ、変じゃない?」なんて仕掛けるのは、学校ではさすがによした方がいいと思うんですがね。
(i) 等式の両辺に同じ数をかけても等式は成立します。つまり、1=0.999999...... がおかしいというなら、3倍する前の 1/3=0.333333...... がすでにおかしいのです。正しい式だったはずなのに、3倍したらおかしなことになった、と思わせるインチキ話で授業時間を使ってはいけないと思います。
小学生が相手なら、「1/3」が「0.333333333・・・」に等しいのだから、両辺に3をかけても等号は成り立つに決まっている。だから「1」と「0.999999・・・」は同じ値の違う表現に過ぎない。約束事だと思っていいくらいのことだ、のような説明をしてくれないと困ります。そもそも十進小数で表現したからいけないのであって、困らせるためにやっているのかっていう側面もありますしね。

このように、等しくなさそうには見えないように、反対向きの説明をすれば、正しいような気がしてくる。これぞ、という説明はみつからなくても、何通りかの説明を示してうまく納得してもらうのが一番でしょう。
ちなみに、無限級数の和を求める形にして、初項 0.9 で公比 1/10 のケースとみる、というスマートそうに見えるやり方はこちら:

でも、これで OK なのは、部分和の極限値を求めることや収束のことなどを習った後でしょう。こんなすごいこと、小学生に教えるのは反則かも知れません(ii)。
(ii) 話は違うのですが、大学受験を目指している皆さん、微分の問題で「ロピタルの定理」を安易に使っていませんか? やめておきましょうね。「割鶏焉用牛刀(論語・陽貨)」(鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いんや)と言いますね。あるいは、「モンティ・パイソン」の名作「モスキート・ハンティング」。蚊を追いかけ回して、最後に藪の中に逃げ込んだところへ、機銃掃射を浴びせて掃討するオチでした。強力な武器を持ってしまうと、場面を考えずに使ってしまう。一国の指導者の中にだって、そんな人は必ずいるんですよ。
いずれにしても、こういうところでハマってしまうようだと、受験数学には苦労するだろうと思います。納得いかない人には悪いけど、割り切って頑張ってくださいませ。努力していれば、ある日突然に「分かる」気持ちが分かるようになるかも知れませんから。
「バーゼル問題」の証明をなぞってみる・・・まずは初等的に
「バーゼル問題」とは、「平方数の逆数の無限和は収束するか。収束するならその値は?」というもの。「収束してその値は π2/6 である」ことが示されていますが、いくつかの証明をなぞってみたいと思います。もちろん、私の興味本位です。
バーゼル問題とは・・・

自然数の平方数とその逆数で書かれた式の値が π2/6 であることに対して、まずは驚きましょう。円周率と何の関係があるわけさ。
最初は高校生向きと言われそうな証明です(なぞるだけなので厳密性は求めないでください)。
上の左辺の級数が収束することから示しましょう。第n項までの部分和 Sn は・・・

これを大きい方から押さえれば OK ですね・・・

最終的に得られた式で n → ∞ とすれば 2 で、Sn はこれを超えない。というわけで、バーゼル問題の級数は収束することが示されました。
では、収束先の値を求めるとしましょう。天下り式になってしまいますが、sin x のテイラー展開は知っている(iii) として始めます。

(iii) sin x を次々にビブンすると、sin x → cos x → -sin x → -cos x → sin x → ・・・と、周期4のグルグル周りになります(これは高校生で習う範囲)。そこで、sin x = a0 + a1x + a2x2 + a3x3 +・・・ と表現できることを認めてやれば、「微分した式に x=0 を代入する」操作の繰り返しによって係数 an が次々に決定できます。当然ですが、cos x についても同様なことができます。高校の数学の先生は教えたくて仕方ないはず。元・水の分析屋さんは、高校までの数学の教科書では、こんなことができるんだという裏付けができない、というだけの話でしかないと思っています。学習指導要領などのしばりもあるのでしょうが、その先を知りたい少年・少女には、遠慮なく遠くの景色を見せてあげて欲しい。
右辺の表現、規則性を強調するため、右辺先頭に「+」を付けました。各項の分母は奇数の階乗になっており、符号は交互に変わっています。関数電卓の助けをもらえばよいのですが、テイラー展開の式で計算すると、先に進むにつれて、足しすぎた、あるいは引きすぎた、次の項で過不足を調整・・・の繰り返しになっていることに気づけると思います。Excel でやればいいじゃん、というのももちろん「アリ」ですが、それなら、グラフを描いてなるほどと納得してくださいね。
冒頭の公務員倫理の話を付け加えたら、たちまち 4000字を超えてしまいました。おっちゃんの怒りですので。
1=0.999999...... という「近似」なのかどうか分からない話から、無理やりバーゼル問題を紹介して、sin x のテイラー展開は知っている、のところまでご案内しました。今日はここまで。