厳しい話を二題:
都道府県単位の線状降水帯予報、的中率1割…5月開始・当初想定下回る
読売新聞 によるストーリー(10/21)
災害級の大雨をもたらす線状降水帯について、気象庁は、5月に始めた都道府県単位の発生予報の的中率が約1割にとどまっていることを明らかにした。当初想定していた的中率「4回に1回程度」を下回っており、同庁は「事例の検証を進め、予測精度向上に努めたい」としている。
同庁は5月27日から、線状降水帯の発生可能性を知らせる「半日前予報」を、地方単位から都道府県単位に切り替えた。5~9月は81回の予報を出したが、的中したのは8回だった。同庁の森隆志長官は「梅雨期の前線が停滞しなかったり、台風が陸から遠くを通ったりしたため、発生に至らないケースがあった」としている。
一方、発生が予報できなかった「見逃し」は17回中9回で、「2回に1回程度」としていた当初の想定通りだったが、9月に能登地方に大雨をもたらした線状降水帯は見逃しに終わった。
御嶽山噴火 国などに賠償求める訴訟 2審も遺族らの訴え退ける
NHK NEWS WEB (10/21)
死者と行方不明者が63人に上り、戦後最悪の火山災害となった10年前の御嶽山の噴火をめぐり、国が事前に噴火警戒レベルを引き上げなかったのは違法だと、遺族などが訴えた裁判で、2審の東京高等裁判所は、1審に続き訴えを退けました。(中略)
1審の長野地方裁判所松本支部は、噴火警戒レベルを2日前に1から2に引き上げなかったことを違法だと指摘した一方、「その段階から適切に対応しても被害を防げたとは言えない」として訴えを退け、遺族らが控訴していました。
21日の2審の判決で東京高等裁判所の筒井健夫裁判長は、「御嶽山は火山学の研究が十分には進んでおらず、裏付けのある資料に基づいて判断することは困難だった。過去の噴火ではより多くの火山性地震が観測され、噴火警戒レベルを引き上げなかったことは違法ではない」として、1審に続いて遺族などの訴えを退けました。(中略)
21日の判決について、火山学が専門の静岡大学の小山真人名誉教授は「噴火の予測はまだまだ未熟であるということが指摘された判決だ。気象庁の対応について厳しく言及した1審判決に比べ、2審判決は噴火の前に異常な現象は出ていたものの、それがすべて軽微だったと判断した。原告にとってはかなり後退する判決だ」と話しています。
なんかの拍子に、私好みの表現 'Science and Technology' が社名になっているのをみつけてしまったので、通常の名詞で「科学技術」と書いておきますが、どちらのニュースも「科学技術の裏付けが十分ではないままに情報を出しているのではないか」とみられている・・・といった話だと考えます。情報発信のゴーサインを出した方に、何を根拠に判断されたのか、詳しくお聞かせ願いたいです。
さて、円の面積をめぐる循環論法の話題をもういちど。どこが循環論法になっているのか、ちゃんと整理しておきましょう。
円の面積の公式からスタートして円の面積の公式を証明する流れ
円の面積は「半径×半径×3.14(円周率)」。この公式は小学校で習いますが、たとえば、下のような図で納得するよう迫られるのです(2024/4/1 の「ウソやで・・・」を参照)。

これはさすがに悪態の一つもついておかねばならないレベルです。頭の中で極限操作まで考えてね、っていうやり方ですからね。小学生にとっては相当なカルチャーショックになりそうだと思いますが、現場ではそうでもないらしい。イマドキの子供たちの感性がよく分かりません。まあ、イマドキの、なんて言ってるようではオヤジの証明。実際65歳なんで許してちょんまげ。
\(・_\)それは(/_・)/おいといて。こうやって無理やり「円の面積」が「半径×半径×π」であると「分かった」ことにする。あるいは、どんな円でも「円周の長さ」は直径の定数倍であることを「分かった」ことにする。そう、「円の面積」あるいは「円周の長さ」が「分かった」ところがスタート地点です。
次に、ピザ、ケーキ・・・何でもよいのですが、円の一部を切り取った「扇形の面積」あるいは「弧の長さ」が、中心角 θ を使えば求められる、ということを認める。これも、中心角の大きさの円全体、一周 360° (弧度法なら 2π)に対する割合をかけるだけのことなので OK です。この「扇形の面積」を大きい側からと小さい側からの両方で評価して、「その値は間にある」ことから、「挟み撃ちの原理」によって三角函数の極限値が分かる。理解の助けのため、図と式を示しておきます。

足早で申し訳ないですが、これでめでたく三角函数の微分積分も分かるようになったので、さっそく「円の面積」を積分で求めることにします。

式が簡単になるように単位円で示しましたが、半径 r の円の面積 S が πr2 であることは容易にお分かりいただけるでしょう。確かに、円の面積は「半径×半径×π」・・・・・・これは困りました。大前提の円の面積や円周の長さは小学校で習って知っていたはず。それなのに、高校生レベルで三角函数と積分まで使って議論した結果がそれと一致しただけではありませんか。

循環論法に陥ってしまった原因は何でしょう。まず、大前提の「円の面積」が極限操作を含む考え方で与えられる。円の「部分」である「扇形」の面積は、中心角による比例配分で求められる。たぶんここまではOK。まずいのは、三角函数とその積分を用いてやらないと、円の面積を求められないことでしょう。
扇形の面積は円の面積の公式を知らないと出てこない。ところが、円の面積を三角函数を用いた積分で定義すると、どうしても sinθ/θ の極限に頼らざるを得ない。その極限値は上で示したように「挟み撃ちの原理」で分かるけれど、そこでの議論には扇形の面積が登場する。求めようとするものがその定義によっており、循環論法からは抜け出せないわけです。
先ほどご覧に入れた「△OAC < 扇形 OBC < △OBD」の面積比較にまつわる話はここまでにしますが、同じ図で弧の長さに着目すれば「AC < 弧 BC < BD」(sin θ < θ < tan θ)が出てきますね。当たり前だと流してしまいそうですが、この「長さ」の関係だって、果たして「明らか」なのでしょうか。面積を避けて弧の長さに逃れようとしても、やはり三角函数の極限が出てきます・・・皆様、眠れない夜にようこそ(笑)。
「光あれ!」と言われたとき、円の面積が分かったと納得して、その先ムツカシイことを考えなければ幸せな人生を送ることができる。思い立ったときだけ数学に親しめばよい私たちは、ね。π の定義を円とは別なところに求める・・・といった話に感心できるくらいで十分なのかも。
まあ、元・水の分析屋さんは、それでもムツカシイことに首を突っ込みたい、変で暇な奴ですけどね。