政府広報の話の続きで・・・ブツブツ言います。
前回紹介した部分の後には、こんなことが書かれております:
「地域安全活動に参加したい」「地域の力になりたい」と思ったとき、何から始めればいいのでしょうか。
そのポイントは、「無理せず、できることから」です。例えば、町内でのあいさつ、声かけ運動、通学路の立番活動など、地域の中でのちょっとしたコミュニケーションや活動によっても、地域を見守る機会が増えることになり、不審者を寄せ付けにくくするといった効果があります。
下線のところにご注目。そもそも、住民一人ひとりの善意に頼ろうという話なのに、困難だったり無理だったりの行動をさせてよいはずがない。こんな断り書きがある活動に安心して参加できるでしょうか。第一、人間関係が希薄な大都市で暮らし、個人のプライバシーには極めて敏感な住居を求めるようになったのは、いま政府が推奨する「集団」「全」の関係性が煩わしくて「個」を選択したからではありませんか。何十年にもわたって、国策としてたくさんの「個」を大都市に集めるように仕向けておいて、今さら地域のコミュニケーションを訴えるとは、まったくもって恐れ入ります。
「地域安全活動」や「地域の力になる」行動は、本来、行政の側が取り組む当然のお勤め。公務員、それに準ずる人、あるいは、業務委託を受けた業者さんたちの仕事です。もちろん、行政でどうにもできない、手が回らないことが発生するのは、程度の問題ではありますが仕方のないこと。でも、そこにはフェイルセーフ的な仕組みは用意されていません(用意するつもりもなさそうです)。それでいて、住民の自主的取り組みやボランティア活動をよびかける・・・人も金も出せないのに、それを棚に上げてあれこれと口だけ出すのはやめてほしい、というのが私の意見。もちろん、ちゃんと手を出してくれるなら、そうあるべきとは考えていますけど。
では、自主的に?発達する積乱雲の話、続けます。
きっかけになる上昇流
積乱雲が発達するには、まず空気(エア・パーセル)が上空へと持ち上げられることが必要です。鉛直上向きの空気の流れ=上昇流が生じるのには、何らかの原因があります。
まず、たぶん理科の教科書などではお馴染み、太陽光で地表面が暖められ、それによって地表付近の空気が暖められて軽くなり、対流が発生する話から。
実は、この説明には、ちょっとした罠があります。地表面、ひいては、地表付近の空気が、一様に暖められたら・・・そうです、密度が小さく(軽く)なって浮力を得るはずなのに、周りの空気も同じように暖められてしまうと、密度に差ができなくて簡単には浮力が得られないのです。空気の暖められ方にムラがあって、周りの空気よりも密度が小さい部分ができる方が、対流が生じやすくなります。そこんとこヨロシクですね(i)。
(i) 物質・物体が動くと、そのあとにできる空白部分(空間)を埋めるような現象が生じるはず。こういったころは、学校では教えてくれてないと思いますが、いかがですか。アリストテレスは「自然は真空を嫌う」と考えました。倫理・社会の資料集なんかに出ていませんでしたか・・・。
次は、地上付近の「収束」によって上昇流が生じるケース。すっごく単純化して言えば、地上付近の風がぶつかり合って、行き場をなくした空気が上昇するのです。これまた一般化してしまえば、地上天気図で低気圧があれば、そこに風が吹き込んできて「収束」するので上昇流が生じます。

図から納得いただけると思いますが、低気圧の場合、地上で「収束」しているのですから、ほかに行き場のない空気は上昇流となり、上層のどこか(ii) で「発散」しているはず(低気圧でなくても、地表付近で収束があれば上昇流が生じます)。逆に、高気圧からは地上で風が吹き出して「発散」していますから、上層のどこかで「収束」があって、ほかに行き場のない空気が下降流となっているはずです。
(ii) 雲ができて降水現象がみられる地表から 10~16 km までの層では、高さとともに気温が低下するのがふつうで、ちょっとしたことで対流が発生するので「対流圏 troposphere」といいます。その上にあるのは、気温の低下率が小さいか、逆に高さとともに気温が上昇するために安定成層している「成層圏 stratosphere」です。つまり、対流圏の上限は成層圏の下限であり、「(対流)圏界面 tropopause」といいます。「上層のどこか」は、それ以下の高さになります。
地表付近の空気が無理やり上空へと押しやられるケースもよくあります。山の斜面を駆け上がる風がそのまま上昇流になるとか、地上天気図に現れる前線付近で空気が持ち上げられるとか(下図)。

ここで、ガマンの限界を超えたことを書いちゃいますが、NHK の気象情報の時間でさえも、前線を黄色で示していることがあります。どんな決まり事があるのでしょうかね。そもそも、カラーを用意するなら、温暖前線は赤、寒冷前線は青に決まっております(閉塞前線は紫、停滞前線は赤・青交互)。高気圧は青で、低気圧は赤です。ネット上でみつけた「低気圧は雨が降るから青、高気圧は日が照るから赤でも良い」などというド素人の意見など、世間で通じるわけないので無視すればいいのです。誰の許しもなく、昔からの約束事を勝手に変更するんでない! このバカたれが! (レスペクトが足らないとしか言えません)
すみません、力が入りすぎました。いずれにいたしましても、とかが口癖だったような総理大臣がいたと思いますが、いずれにしても、上昇流が生じてしまえば、後は水蒸気を含む空気が持ち上げられて飽和すると、水蒸気が凝結して雲ができる・・・というストーリー、ここは不動です。
大気の状態で雲の発達も変わる
上昇流に乗ったパーセルは、高度とともに乾燥断熱減率で冷えながら上昇します。水蒸気が飽和して凝結が始まる高さは「持ち上げ凝結高度 Lifted Condensation Level: LCL」と呼ばれます。凝結で雲ができるのですから、おおむね雲底高度と同じになると考えといて下さい。
さて、ここからさらに上昇するパーセルは、凝結によって雲を作りますから、湿潤断熱減率で冷えることになります。パーセルの周囲にある空気の鉛直方向の気温分布は、乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の間にあるはずなので、上昇を続けたパーセルの温度が周囲よりも高くなることがあります。いや、現実の大気ではしばしばそうなるのです。そうなると、パーセルは上昇流を作ってもらわなくても浮力を得られ、自力で上昇できるようになります。こうなる高度を「自由対流高度 Level of Free Convection: LFC」と呼びます。ここで対流雲の自主的な発達が始まるのですね。
最近噂の JPCZ は代表的な「収束」域
気象現象の解説でよく見聞きするようになった JPCZ。元・水の分析屋さんも、昔ほんのちょっとだけ現象の調査に参加したことがありますので、ちょっとだけ説明にも参加しようと思います。
まず、その名称から。「日本海寒帯気団収束帯」の略称です。途中が分かりにくいと思いますが、JPCZ: Japan-Sea Polar-Airmass Convergence Zone なのだそうです。日本語の名称から予想してしまう S も A も出てこない。なんとも奥ゆかしい限りです。
(・_\)それは(/_・)/おいといて、JPCZ は、ユーラシア大陸から日本海へと吹き出す冬の季節風が、朝鮮半島の付け根の白頭山を中心とする高地の地形を避けるように二手に分かれ、それが日本海で合流して収束する現象です。

この JPCZ、風が収束しても下流(日本列島)側に逃げられるんじゃないかと思えるのですが、そうはいかない。発達した収束域で盛んに積乱雲が形成され、その雲の列が日本列島まで届いてしまう、そういう強さなのです。
作図に手間取って投稿間隔が空いていますが、無職のオジサンがやっていることなので大目に見てやって下さい。その代わりと言ってはナンですが、このブログで出所が書かれていない図は、たぶん元・水の分析屋さんの手作りです。著作権とか主張するつもりはないので、教育その他の公益に関する場面でお使いになるならご自由にどうぞ。ま、商売だけはしないで下さいね。