唐突で申し訳ないのですが、洗濯物を外に干す話をネット上で見てしまいましたので、お笑いを一席。
予報を発表する側には「所により」「にわか雨」なんていう変な逃げ道(大笑)まで用意されていますが、予報を利用してくださいと渡されてしまった側は困ってしまいます。元・水の分析屋さんは、受け止め方によっては信用に関わる問題になりかねないと思いますが、さて、どうでしょう。
予報が外れたときの印象は、花火・バーベキュー・キャンプなどの屋外行事が中止されたとか、いきなり降られてコンビニで傘買ったとか、バスタオルやシーツまで洗って干したのに濡れちゃったとか、いろいろな事情でマイナス方向に拡大されてしまいます。予報を見た、聞いた、から先の途中経過は省略して、思わぬ結果になった記憶だけが残るのですから、当然と言えば当然です。「降水確率予報をご利用ください」≒「降水確率が高ければ、洗濯物の外干しはあきらめ、外出時には折りたたみ傘くらいは持ち歩いてください」なーんて考えて欲しい、というのは無理だと思います。そもそも、降水確率の意味、多くの国民にちゃんと理解していただけているでしょうか。
降水確率とは、予報の対象領域において、予報の対象時間帯に、降水量 1mm 以上の雨や雪が降る確率です。10%刻みの11階級で示すことになっていますから、「0%」とは 5% 未満で、「100%」は 95%以上のことです。「渡島檜山地方の6時から12時の降水確率は30%」という予報が出た場合、予報対象領域(渡島檜山地方)の面積の30%くらいに降るというのではないし、6時から12時の間の30%くらいの時間(1.8時間程度)降ると言うのでもない。もちろん、1時間あたり10mmといった、基準になる単位時間降水量の30%くらい降るというのでもない。1mm に満たない降水については予測の対象にさえなっていない(i)。
これはもう、ムツカシイにもほどがある。確率表現にする意味もよく分かりません。実に憂鬱ですが、プロの芸人さんでもスベることの多い日常、まあ、ここは笑ってやってください。
(i) 元・水の分析屋さんは、ふつうの統計や確率の話なら、それなりに理解できるつもりですが、降水確率はどうも。そもそも、確率表現の予報の妥当性を検証することはほぼ不可能だと思いますから(検証に用いる観測データがあるのかな?)。もしそうであったらゆゆしき問題になりそうですが、雨が降るかも、という情報を提供するにあたり、担当予報官にどのくらい自信があるかという「指数」みたいに考えるのでしょうか。
さて、ネット上で見た記事に戻ります。何だかんだ言いつつ、洗濯物を外に干したら雨で濡れてしまった…もう一度洗うべきかどうか、というおたずねなのですが・・・。
結論から言います。雨に濡れた洗濯物には汚れがたっぷり付いていますから、できればもう一度洗いましょう(ii)。
雨水は、空から降ってくる途中でさまざまなチリ・ほこりその他を取り込みます。ガス成分ももちろん溶けています。今日でも、日本で降る雨は、溶液として pH<5.6 になっているだけではなく、汚い雨としての酸性雨になっています。硫酸イオンなんかも含んでいると思われますので、少なくともすすぎ落としてやらないと、衣類の繊維にダメージを与えてしまうでしょう。ここまでは、おおよそ間違いのないところですから、この先はあなたが考えてね。
それでも、面倒だし安い服なので乾けばそれでいい、と言うなら、乾燥機にさっさと入れちゃうとか、とにかく早く乾かす手段を考えましょう。まあ、色・柄物はいざ知らず、持統天皇の頃から、白妙の衣は干すとしたものです。知恵袋に質問していては間に合いません。早く洗え、早く干せ。
(ii) 元・水の分析屋さんの出身地では、「汚いに決まっとろうが。はよぉ洗ろぉて干せや」のようなアドバイスがあるはずです。
では、今回も π の話で恐縮ですが。
単振動にも π が出てくるのでした
4/9 の記事「揺れる、ゆれる 回る、まわる」で扱った単振動の解析でも π が出てきました。変位、速度、加速度の式もつけた図がこちら。

等速円運動を考えれば、周期に π がでてくるのはあたりまえになってしまいます。往復運動の背後に回転運動が見えてくればしめたもの。
最後の加速度の式:変位が正なら加速度は負、変位が負なら加速度は正。質量1の質点に関する運動方程式だと見れば、ω2 ≧0 ですから、質点が原点から離れると、原点に戻る向きに、変位に比例した力が働くということです。中心力、復元力。
受験生がはまると大変そうな沼
円周率 π のことをシンプルに「円周と直径の長さの比」と見て、「直径1の円周の長さは π」だと考えてきましたが、本当はそれではまずい。また、考えたこともないという方が多いと思いますが、「単位円の面積は π に等しい」というのも、実は正当な理由をみつけられない。直径1の円周の長さと半径1の円の面積(の値)が等しい、という主張であれば、怪しげであることは伝わるでしょうか。

「円周と直径の長さの比」が π の定義だというなら、先に「円周の長さ」が定義されていなくてはなりません。「弧度法」をご存知なら「弧の長さ」と「積分」が使えればOK ・・・と考えるかも知れません。しかし、積分しようとすると「三角函数」と「極限」を用いることになって、「弧度法」に戻ってしまいます。これでは論理のグルグル周りです。そして、単位円の面積からのアプローチも、「面積」が「積分」で定義できる、という段階でつまずきそうです(少なくとも、相当面倒くさそうな雰囲気)。
ということで、グルグル(iii) が嫌なら、どこか別なところに議論の土台を求める必要があります。解析学の教科書には、最初に三角函数(sin x, cos x)を微分方程式の組で定義してから、「cos x = 0」を満たす最小の実数を「π/2」と定義する、といった考え方が出てきます。高校生が習う三角函数(三角比)とはえらい違いですが、たしかに、ここから始めれば「円周の長さ」や「弧度法」も安心して導入できそうです。定義の根源に遡るのは面白い。でも、これは「沼」でもあります。
(iii) 大根を持ったドサクサ妖精が登場して、大混乱です・・・ダイコンラン・・・
元・水の分析屋さんは、時間を持て余したら沼に出かければいい身分になりました。おかげではまり通しです。さあ、受験生の皆さんは、論理のグルグル周りに気付かないでいられるか、気付いても「今のところは、まあ、いいか」と流す力をもっているか。もちろん、ずーっと前者のままでいても、何の不自由もないはずです。