ここのところ、そこら中オリンピックの話題で持ちきり。街中の映像が流れると、しばしばエッフェル塔が映っています。エッフェル塔は、1889年の万博のために建設されましたが、当時としては奇抜なデザインであったこともあり、多くのパリ市民が「そんなもん作るな」って反対していたそうです(醜い上に、倒れたら無防備な住民たちを押しつぶしてしまう)。文豪ギィ・ドゥ・モーパッサンも、建設に激しく反対したひとりですが、いざ塔ができてしまうと、毎日のように一階にあるレストランを訪れた・・・理由は「ここはパリの中で、いまいましいエッフェル塔を見なくてすむ唯一の場所だから」だそうで。「エッフェル塔が嫌いなやつは、エッフェル塔へ行け」という諺になっているとか。 ほんまかいな。まあ、ええわ。
なお、エッフェル姉さんたちは、そこまで塔が嫌いじゃなかったみたいですが、起こした問題の後始末は何一つできてない。
東京大学「伝説の良問」へのアナザー・アタック
前回の投稿、読み返すと明らかに舌足らずのところが。
正6角形でスタートすると「ちょうど3」・・・と書きましたが、これは内接正6角形で近似を始めると「ちょうど3」・・・みたいなことです。

上図のようにすれば 2π ~ 6 と近似できる。つまり、内接正6角形による円周率の近似値は「ちょうど3」です(第ゼロ近似も甚だしい)。外接正6角形も作って、その間の値・・・というのではありません。また、伝説の良問へのアプローチも、内接正多角形を使って求めた小さい側の評価値であること、付け加えさせてちょんまげ。ちょっと不正確な説明でした m(_ _)m
\(・_\)それは(/_・)/おいといて、前回は「伝説の良問」に単位円の内接正多角形の周を使って迫っていきました。今度は内接正多角形の面積を用いてアタックしてみようと思います。円の面積は πr2、単位円なら π となります。内接多角形の面積が 3.05 を上回れば証明できたことになりますね。
とは言っても、正12角形では見るからにダメそうな気がします。頂角30°の二等辺三角形を思い浮かべて、面積の公式をあてはめてみましょう。

ご覧のように、内接正12角形の面積はちょうど 3。今一歩届いていません。仕方ないから、アルキメデス大先生の次のステップだったはずの、正24角形で考えましょう。

途中の計算、sin 15° の値は・・・半角公式覚えてないんですが・・・ いえいえ、加法定理さえきっちり覚えていれば、倍角公式も半角公式も、簡単な計算で導出できるじゃないですか。

半角公式まで丸覚えしてるようだと、北海道弁で「ハンカクサイ」って言われちゃいますぞ。何度も何度も計算して、たくさんの式を書いていれば、そのうち手が勝手に動くようになります。覚えようとしてなくても、もう覚えたようなもんです。覚える努力ももちろん大事ですが、計算の手間を惜しまない方がもっと大切だと思います(元・水の分析屋さんの意見です)。
で、最後は 2-√3 の平方根が前回に続いて登場。単位円に内接する正24角形の面積は、3.1 を上回ると評価できるので、π > 3.05 が示されました。
そもそも円の面積とは・・・
前回から試験の答えばかり考えていましたが、そもそも「円周の長さ」とか「円の面積」とは何でしょうか。もっと一般的に、曲線の長さ、曲線に囲まれた図形の面積、として考えてもよい・・・

「線分」の長さや「正方形」の大きさを基準にしたくなりますね。ピッタリ当てはまらないときは、もっと短い線分とかもっと小さい正方形を用意する。十進小数の表現はまさしくそのようになっております。小中学校では(もしかすると高校でも)、小数の桁数をどんどん増やすことに対応させるかのごとく、
○ 曲線を細かく区切った「折れ線」の長さ、その極限を「曲線の長さ」と考える。
○ 正方形で図形(領域)を覆い尽くす状態と、内側から埋め尽くす状態との間として、挟み撃ちの極限を「図形の面積」とするのがよさそう(i)。
のようなイメージを「極限」と言わずに刷り込みます。こういうところは「だましだまし」であっても納得した気持ちにならないと、「はてな」が頭にくっついて勉強が進まなくなります。ある意味、仕方ないことです。できれば「極限」をきちんと学ぶときにジャマにならないような理解であることを祈ります。
(i) 実際に、小学校で方眼紙のマス目を数えたりしませんでしたか? 内側から埋め尽くすところをやってみた、なのでしょうね。
円の面積を三角形の面積から構成する
さて、前回と今回で内接正n角形のうち、正6角形、正12角形、正24角形までを見てきました。nの増大とともに、外側の円との隙間がどんどん小さくなっているのはお分かりでしょう。この状況から極限をイメージしつつ「円の面積」をもう一度考えようと思います。
大前提ですが、ある図形をたくさんの部分に分割して並べ替えても、面積は変わりません(お札を細かく刻んでつなぎ直したら2枚分になるようでは困ります)。では、下のような分割と並べ替えはいかがでしょう:

まず、半径 r の円を直径になる線でたくさんの扇形に分轄します。ミカンの皮をむいたときの房に分かれたところ・・・みたいに。次に、円周のどこか一か所を切って、真っ平らに展開します。多数のミカンの房は、高さ r のほぼ三角形になっています。三角形の面積は、底辺と高さだけで決まりますから、多数の三角形の頂点を一か所にまとめてもよいはずです! あとは扇形への分轄数を ∞ にした極限を考えるだけ(ii)。
半径 r の円の面積は、底辺 2πr、高さ r の三角形の面積に等しいことが分かりました。というわけで、S= πr2 です。
(ii) 一つ付け加えると、アルキメデスは「半径 r の円の面積は、底辺 2πr、高さ r の三角形の面積に等しい」ことを示したのですが、上に書いた方法よりももっと慎重かつ精密な手順を踏んでいます。円の外接正n角形(円よりも大)と内接正n角形(円よりも小)を考えて、nを増やしていって円の面積を上からと下からで挟み撃ちにしたのです。正多角形を用いているので「ミカンの房」は間違いなく三角形。面積の公式は知っています。で、最終結論は、円の面積は、底辺が円周の長さで、高さが半径に等しい直角三角形の面積よりも「大きくもなく」しかも「小さくもない」。故に「等しい」・・・という論法になっています。二つの実数 (a, b) の大小関係は、a>b, a<b か a=b のどれかにしかなりませんから、これは本当にスマートなのです。
別な分轄と並べ替えをやってみましょう。叱られそうですが、バウムクーヘンを一層ずつ剥がして展開するときの断面を想像してください。

2π ~6.2、まともにやると、図が縦長になりすぎるので、縦軸方向は縮めて表現しています。細ーい短冊を並べると、底辺が r、高さ 2πr の三角形に見えてきます。バウムクーヘンの層の厚みを限りなく薄くしてやると、極限では三角形になる。また、高校生がリーマン積分を習う最初の頃に出てくる図とそっくりなので、まともに積分してやってもよい。どっちにしても、S= πr2 です。よしよし。
最後に念のため。
S= πr2 は「半径の自乗に円周率をかけた値」という形ですが、元は「底辺 2πr、高さ r の三角形の面積」を求める式でありました。一緒じゃん・・・と言わないで。
一つの式に何通りもの解釈(読み取り方)があることをお忘れないように。