元・水の分析屋さんは、テレビ番組以外で曜日を気にすることのない毎日を送っていますが、学校はそろそろ夏休みですね。特に、受験生の皆さんは、ここが勝負だ、頑張りどころだと、発破かけられていることとお察し申し上げます。でも、本当は、最後の悪あがきの段階まで勝負は続きます。心に余裕、遊びがないと、頑張れば頑張るほど苦しさが増すばかりです。くれぐれも消耗し尽くすような頑張り方はされませんように。
さて、家庭教師でお小遣いを得ていたころのことです。
教えていた生徒さん、いよいよ受験という年度に学区の編成が変わるせいで、志望校の競争率が読めなくて・・・と、ちょっと不安がっていました。おまけに、違う高校に通う先輩の親御さんが「うちの子の学校の偏差値が上がるらしい」といって、喜んでいるというのですよ。ねえ、私の行きたい高校はどうなるの? 申し訳ないですが、笑ってしまいました。
まあ、先輩はいいから、自分のことだけ考えようか。まず、この学区編成の変更は、人口のバランスをとろうとしただけだから、あなたの志望校も先輩の高校も、偏差値が変わるような影響はないはず。それにね、その親御さんは、喜ぶようなことが起こっていないのに喜んでいる。たとえどこかの高校の偏差値が変わるとしても、いまそこに通っている子の成績や偏差値は変わらない・・・でしょ。そんな人の話は気にしない、気にしない。笑顔が戻ってきたのでここで終了。あとあとその先輩(と親御さん)が「○○高校に行ってる割には」なんて陰口たたかれなければよいけどね、とは思いましたけど。
あの頃と比べて、情報の量はもっとずっと、桁外れに増えております。不確かで人を惑わせるばかりか、取り入れると害になりそうな情報もあふれんばかり。上の話に出てきた親御さんの場合は、わが子の通う学校の偏差値が上がるかも、という不確かさにまみれた情報から、わが子の成績あるいは偏差値も上がるかも、という、さらに不確かな期待を、演繹的に導いてしまいました。風が吹けば桶屋・・・くらいのことはご承知であったでしょうに、自らドツボにはまったのです。
こうしたドツボのチャンスは、いつ私たちのもとに巡ってくるか分かりません。たとえば、不確かな儲け話。あなたが儲かる話をわざわざ教えてくれるようなお人好しがいるでしょうか。あるいは、こうすれば儲かるという話を本にして売れば儲かるかも知れませんが、あなたにそんなことができるかどうか。まあ、怪しい話には、とにかく気をつける。残念ですが、それしかないと思います。
\(・_\)それは(/_・)/おいといて、家庭教師の私から見ても、試験当日インフルエンザとかでもなければ何の心配もない、よい感性とすぐれた知性を持ち合わせた子だったのに、それでも引っかかりそうになった。疑心、暗鬼を生ず(i)。受験生にとっては、偏差値や競争率にかかわる話は、大きな不安材料なのだと改めて感じたものでした。
(i) これを省略した形が四字熟語「疑心暗鬼」。ある男が木を切るのに使っていたマサカリがなくなった。隣のうちの息子が盗んだのではないか・・・と考えたら、そういえば・・・が次々に思い浮かんで、すべての言動が怪しく感じられるようになった。ところが、どこかに置き忘れていたマサカリがみつかったとたん、そんなことはまったく感じなくなった。中国の戦国時代の書「列氏」とその注釈書にでている話だとききますが、私は読んでません。
「正規分布」と円周率 π
「π」の本を購入するのは簡単でしたが、それで「π」のことが分かるわけではありません。円の周と直径との比である、というのだって一面的な理解に過ぎない。何か勉強していると、どうしてなんだろう、なぜなんだろう、と首をかしげるようなところに π が現れます。
いえ、フーリエ級数なんかだと、必ず nπ 周期のサインコサインの重ね合わせを考えていますから、出てきてあたりまえなのです。しかし、統計学の分野でも重要なところに π が出てくる。そう、「正規分布」「ガウス分布」の確率分布函数の式(ii) には π が入っています。
(ii) 平均値(期待値)が μ、分散が σ の正規分布を N(μ, σ2) と書きます。確率分布関数は

ややこしい姿をしているのは、(-∞, ∞) にわたって積分した値が 1 になるように規格化されているためです。e の肩に「-■2」が乗っかっていることに注目。
話を単純化しましょう。下の図のような函数(ガウス函数)とその積分(ガウス積分)を扱います:

e の肩に -x2 が乗っかった函数を(-∞, ∞) にわたって積分すると √π がでてくる。どこをどう見れば円と関係があるのか分かりませんが、π が登場するのです。
大学で習う複素積分で経路を一周する・・・の証明がカッコいいとは思いますが、高校生レベルプラスアルファで、敢えて重積分を作ってからの変数変換・・・で試みましょう。
まず、被積分函数が偶函数なので、積分区間を(-∞, ∞)→ (0, ∞) として、最後に2倍することにしましょう。さらに、変数変換を見越してわざと自乗してやります。すると、

あとは、自乗してあったのでルートを取り、さらに偶函数でしたから2倍。正しく √π に到達しました。
いかがでしたか。どうして π が出てくるのか、元々のグラフからは想像できかねたでしょうが、重積分によって xy-平面に展開してから極座標表示を考えたところで、納得できるようになったのではないでしょうか。
なお、大学入試で「ヤコビアン」は使わないという声が聞こえてきそうですが、1変数で置換積分をするときの「dx = dx/dt dt」はOKですよね? これはまさに変数の付け替えにともなうスケール変換。ここで使ったヤコビアンはその2変数バージョン、拡張に過ぎません。もっと言えば、極座標に変換すると「dxdy = r drdθ」になる。これだけを受験対策として覚えておいても損はない。何かの拍子に役に立つ。それでいいじゃないですか。